改めてClaude3.5sonnetに小説を書かせてみた2
# 第一幕:骨を拾う朝
朝焼けの光が、街の瓦屋根を赤く染めていた。
石畳の隙間から立ち上る霧が、獣人の傭兵が啜る酒の匂いと混ざり合う。その毛むくじゃらの手が、人の骨とも獣の骨ともつかない白い欠片を齧り、それを投げ捨てた。
少年は素早く動いた。朽ち果てかけた骨を、慣れた手つきで籠に拾い上げる。その指先には古傷が幾重にも重なっていた。
「何の骨だと思う?」
隣で拾っていた少女が囁く。
「...獣人の子供かな」
「違うよ。人間の赤ん坊だよ。ほら、この形を見て」
二人は骨を見つめ合う。貧民街の子供たちにとって、それは日課だった。燃料にもなり、薬の材料にもなる。時には食いつなぐための最後の手段にもなった。
「おい、そこのガキ!道を開けろ!」
裕福な商人とその護衛の傭兵たちが、石畳を踏みしめながら近づいてくる。子供たちは慌てて立ち上がるが、籠を落としてしまう。骨が石畳の上に散らばる音が、朝の静けさを破った。
その時、子供たちの前に影が差した。
商人の前に立ちはだかる金髪の若い女性。その赤い瞳に、獣のような警戒心を示す光が宿る。まるで魔族の血を引くかのような、不自然な輝き。
「な、なんだお前は...」
女性のあまりの威圧的な雰囲気に商人が後ずさる。護衛の一人が耳元で囁く。
「暗殺ギルドです」
商人の顔から血の気が引く。街で最も恐れられる組織の名前。それは貧民の味方であり、同時に闇の裁き手でもあった。
「し、失礼」
そそくさと立ち去る一行。
「ありがとう、レカ姉ちゃん!」
少年が満面の笑みを浮かべる。
「朝から働き者じゃん。えらいえらい」
レカは少年の頭を撫でながら、優しく微笑んだ。が、その瞳の奥には何か暗いものが潜んでいた。
「姉ちゃんほどじゃないよ。みんな言ってるんだ。貧民街は姉ちゃんが守ってくれるって」
「あーしらのギルドのシマだからなァ、仕事だよ」
軽く受け流すレカ。先日スリを叱った少年だと気づく。今は古鉄を集める籠を抱えている。善良な仕事に変えたことに、少しだけ救われる思いがした。
通りの向こうから冒険者ギルドの警官が現れる。少年の体が強張るのを感じ、レカは自然と彼の前に立つ。へりくだった態度で先手を打つ。
「おはようございまーす。今朝も早いっすねー」
陽気な声で呼びかける。警官たちは「暗殺ギルド」と囁き合い、黙って立ち去った。
少年の肩から力が抜ける音が聞こえる。レカは路地の奥、パン屋の明かりを見つめた。温かな光が、朝もやに染み出していた。
「よーし、今日も大量買い付けなきゃ行けねーんだ。ホラ、この金でおめーも食え」
ポケットから取り出したコインを投げ渡す。
「ありがとう、姉ちゃん...」
満面の笑顔の後に曇る表情。夜の商売の方が稼げたことを、言葉にはしない優しさ。
レカも一瞬表情を落とす。街の闇が子供たちを蝕んでいく現実。それを変えられない自分への苛立ち。
「...きのうまでみたいに、スリを続ける方がよかったか?」
少年は首を振る。レカはじっとその姿を見下ろした。骨を集める籠の中で、白い欠片が朝日に照らされて光る。
「よっし!今日も元気でいくかー!」
声高に叫ぶ。誰に聞かせるでもない。ただ、心の底に沈む暗い何かを、必死に打ち消すように。
白々と明けゆく空の下、レカは貧民街の路地を歩いていた。壁にもたれかかる廃人となったエルフたち。かつては魔法の使い手だった彼らの目は、今や虚ろだった。レカは思わず自分の血筋に触れる手を押さえる。
路地の向こうで、家家の煙突から煙が立ち始めていた。レカの影は、朝日に照らされて長く伸びる。その先には、街の中心、大時計塔の尖塔が、朝もやに浮かんでいた。巨大な歯車の音が、遠くから響いてくる。
# 血の橋
「布告!布告!我々傭兵ギルド最強の獣人部隊!この街を三ギルドの支配から解放する英雄!寄付を募る!この橋を通る者は誰でも寄付できる!解放に協力せよ!」
朝靄の中、レカは瓦を踏む音一つ立てず身を潜める。瞳に一瞬、魔力の赤い光が宿る。父から受け継いだ、人ならざる力。それは彼女の誇りであり、同時に呪いでもあった。
(アレが...ボスが言ってた最近チョーシこいてる傭兵ギルドのアホか)
近くを急ぐ冒険者ギルドの警官たち。明らかな違法行為にも手が出せない。街の力関係が、そこに如実に表れていた。
(ッケ、子供のスリには厳しいくせに。情けねえ)
だからこそ、レカのような暗殺者に仕事が来る。正義の名の下に、闇の裁きを下す役目。
屋根に跳び移る。軽やかな動きに、魔力の赤い光が一瞬だけ瞳に宿る。瓦を踏む音一つ立てず、標的を確認する。
「確かに情報通り。傭兵ギルドめ、まーた勝手な真似してやがる」
「よし、橋の封鎖はいい儲けになるな。通行料……じゃなかった。寄付金を払えない奴は通すな」
「金払えない貧民どもを追い返せばいいんですね」
「そうさ。傭兵ギルドの権限だ。文句は通らん」
レカは目を細める。この橋を封鎖されれば、貧民街の人々の生活が立ち行かなくなる。幼い頃、自分もそうだった。母と二人、橋を渡れず、空腹を抱えて引き返した記憶が蘇る。
間違いなく命じられた暗殺対象、標的だ。
レカの暗殺のスタイルは、その超人的な身体能力を活かした速攻である。人間はおろか、獣人の動体視力ですら認識不可能な速度で、対象を一瞬で殺す。それは父から受け継いだ技術であり、誇りでもあった。
警戒する傭兵たちが突き立てる槍の隙間を計算する。一瞬の迷いも許されない。相手の懐に侵入すれば、もう勝負は決まっている。
超人的な動体視力で状況を把握する。傭兵たちの槍、逃げ道、そして...中隊長の傍らにいる小姓の少年。
(邪魔だ...下がってくれよ...)
祈るような思いで、レカは最適なタイミングを待つ。だが躊躇する時間なんかなかった。少年は離れない。
(...仕方ない)
瞬間、レカの姿が消える。槍を踏み台に、獣人の動体視力すら捉えられない速度で侵入。中隊長の首筋に指が触れた時、
(ごめん)
同時に倒れる二つの影。レカの指が震える。また一人、罪のない命を奪ってしまった。
(また...また巻き込んじまった...)
橋の欄干から川へ。水しぶきが上がる前に、既にレカの姿はない。体が勝手に動く。獣人傭兵の中にはやっと反応できたものがちらほら。
「中隊長がやられた!? 暗殺ギルドか!」
「み、見えなかった…」
「水音がしたぞー!川だ!撃て!」
水面に銃弾が着水する中、レカは水中で膝を抱えたまま、流されていった。冷たい水が、彼女の熱い罪悪感を少しずつ洗い流していく。
# パンの匂いの路地
パン屋の裏路地に辿り着いた時、店の中から怒鳴り声が聞こえる。
「この役立たず!」
ミーチャの悲鳴に混じる暴力の音。まだ戦場の緊張が抜けないレカの体から、無意識に殺気が漏れ出る。かつて街で最強と謳われた父の血が、彼女の中で目覚める。
「な、何だ...!?」
獣人の夫が震え出す。死の気配に本能が反応したのだ。よろめきながら逃げ出す背中を、レカは虚ろな目で見送る。また暴力で問題を解決しようとしてしまった自分に、どこか嫌気が差す。
「……あーしのいうことが聞けねえのかな。なんども警告してるのに」
まだ殺気が漂うその言葉に、獣人のパン屋ミーチャは体の埃を払いながら言う。
「仕方ないよ。この街に暮らしてると、みんな鬱憤がたまるのさ。あたしを殴るだけで済んでるなら、まだマシさ…。あんたこそ大丈夫かい? なんだかひどい顔してるよ?」
レカは素直に驚いてみせる。自分の心の闇を見透かされたような気がして。
「え? あーし?」
努めて明るく振る舞おうとする。仮面のような笑顔を作って。
「あ、ああ! なんでもねえ! パンをとりに来たのさ!」
ミーチャは黙ってレカを見つめた。その瞳には、全てを見透かすような優しさがあった。母性とも慈悲とも違う、深い理解。
「...ちょっと待ってね」
奥から大きな包みを抱えて戻ってくる。温かいパンの香りが、レカの緊張を少しだけ解きほぐす。その香りは、いつも彼女に安らぎを与えてくれた。
「リリアさんの救貧院行きね。いつもありがとう」
レカは頷くことしかできない。言葉にできない思いが、喉に詰まる。
ミーチャは柔らかく微笑んだ。まるで全てを理解しているかのように。
「気をつけて行きな、レカ。今日はなんだか...霧が濃いから」
その言葉に、レカは強がるような笑顔で答えた。でも、その手は確かに震えていた。
包みを抱え、レカは歩き出す。その背中をミーチャは見送り続けた。朝もやの中、レカの姿が消えていく。路地には、パンを焼く香ばしい匂いだけが残された。
ミーチャは空を見上げた。昼の光の向こうで、大時計塔の鐘が鳴り始めていた。その音は、また新たな一日の始まりを告げている。レカにとっては、また新たな罪を重ねる一日の始まりを。
何度も手直ししながらやり直させてみるとだいぶ良くなるようだ。やはりキャッチボールにように直しながら何度も試行させるのがいいらしい。この過程を内部でやってるのがchatGPTのo1なのかなあ。