ビクトリア型って?その①
精工パッキングです。
今日はビクトリア型の説明です。
実は私はこのビクトリア型という呼び方を広めようとは思っていません。
もちろんこの加工方法しか我々は出来ないのですが、何も知らない人がこの『ビクトリア型』というWordで検索をかけるとは到底思えないからです。
だったらもっと面白い発信方法は無いものか?と色々試行錯誤しています。
とはいえ、やはり我々の現場ではこの型が必要不可欠であり、型抜き加工以外できない我々はこの説明を避けるわけにはいきません。
型は16㎜のベニヤ板に刃物が埋め込まれたものです。
この型と言うのは専門の型製作所で作ってもらいます。
実はこの型製作所についても、すごく詳しくお話ししたいのですが(世界で葛飾にしかない技術)長くなるので別の機会にします。
最初に我々で図面を見ながら型の形状を考えます。
いろいろな抜き方法があるのでこの部分が一番重要であり、気を遣う部分です。
難しい話にもなるので少し簡単に解説していきます。
まず単純な抜型と言うのはこれです。
この刃先はものすごく良く切れますので絶対に触ってはいけません。
私も入社1年目から指先をバッサバッサ切りながら仕事を覚えていった記憶がありますが正直に言ってなんの自慢にもなりません。
自慢するなら型抜き50年、一度も手を切ったことが無い!というほうが伝説になれると思います。そういう意味では私は凡人だし、特別手先が器用なわけでもありません。
この型は単純なハートの形です。これぐらいであれば特に打ち合わせ等もなく図面を書いてこの大きさのハートの型を作ってくださいと伝えれば十分です。
厳密に言うとハートの丸くなっている部分の径や角度などを細かく伝える必要があるのですがおよその型の場合はその辺りは省きます。
そしてこのようにハート形や星形の型の上にスポンジでもシールでも紙でも、とにかく刃型で抜き切れるものであればなんでも乗せて機械でプレスするだけでこの型と同じ形状の製品が出来上がります。
簡単です。誰でもできます。今はコロナ禍で止まっていますがいつでも工場見学は受け入れますし、なんなら打ち抜き体験なんかも可能です。
実際に私立小学校や地方の中学生の社会科見学などの受け入れなども行っています。
そしてこれが実際の量産型と呼ばれるものです。
ハート形1個では1回打抜いて1個しか出来上がりませんが上の写真のように20個の丸形を作ってしまえば1回の打抜きで20個の生産が可能になります。当り前ですよね。
更に言うと薄いシート状のものであれば2枚重ねて打ち抜けば1回の打抜きで40個の生産が可能になります。
これをフルカット加工と呼んでいます。30~40年ぐらい前まではこれが打ち抜きの基本中の基本でむしろこの加工方法しかありえませんでした。
今は多少変わってきていますし、精工パッキングが変わってきた証でもあるのでこの部分はまた後日お話します。
そして今回はここまでお見せします。
分かりますかね。これを全て説明するとまたとんでもないほどに長い話になってしまいますのでまずはこの部分に注目してください。
この黄色い矢印が刃先になります。
そしてこの青い矢印の先が落とし口になります。
これはサイドパンチと呼ばれる刃です。
黄色の矢印の部分で抜き切ったものが刃の中を通り青い矢印の部分から落ちてくるのです。
これを初めて見たのは20代後半だったと思うのですが、なんて画期的な刃があるんだぁーーー!!!と感動したのを覚えています。
これのどこが画期的かと言うと
例えばこの型で打ち抜いた丸の製品は刃の上に残ります。
それを一つづつ回収して(仕上げして)袋詰めしていきます。
ところが、
このサイドパンチの場合、丸の製品は刃の中を通って下の四角の部分に落ちていき溜まっていきます。
そうなんです。回収作業が1つ減るのです。
工賃仕事は時間勝負の場合が多く我々もいかに早く正確に仕事をするのかを考えています。
これはその最たるもので、これのおかげで仕事がかなり捗ることになりました。
今回はビクトリア型の触りの部分だけお話ししました。
次回はもう少し専門的な部分もお話ししたいと思います。
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