悲しいものが好きだった

昔は悲しいものが好きでした。とにかく切なくて美しくて、泣けるようなもの。映画でも本でも何でも。若い女の子にありがちな傾向なのでしょうか?自分ではそんなつもりはなかったのですが、切なくないものなんて価値ない!ぐらいに内心思っていたようなところがあります。

そういった傾向は20代後半くらいまでは続いていました。とにかく暇さえあれば悲しい作品に触れ、号泣する日々(笑)特に社会人になってからは挫折の毎日だったので、己の行く末を悲観しては、週末が来るたびに泣き崩れていたように思い起こされます…。今だから笑えるっていうのはありますが。

現在はと言いますと、確かにそういったものは好きなんですが、なんだかそういうものに触れて心が動くと罪悪感というか、ちょっとした居心地の悪さも感じるようになってきました。歳をとってくると、涙もろくはなる反面、人生に対してのある種の諦めのようなものも出てきてドライになるのかも知れません。いくら悩み苦しみ、切なさで胸をいっぱいに満たしたところでどうせ死ぬじゃん?みたいな。

先ほども、ふいにニューシネマパラダイスの名曲「愛のテーマ」を耳にして胸がキュッとなり、読んでいた漫画の切ないシーンとも相まってワーッてなりましたが(意味不明)、同時にイカン、そっちに引っ張られすぎては!と自分の内面がブレーキをかけるのも感じました。

切なくなったからって何?それはとても美しげな感覚だけれども、果たして私は自分の人生自体もそういうもので満たしたいの?笑って生きたいと言いながら、実は泣いて過ごしたいだとか?

しかしながらnoteでの自分の履歴を遡って見ますと、割とメソメソしたこと書いてたりします。泣きたくなった時とか悲しい感じで心が動いた時に何か書いて吐き出したくなりますしね。いわば、そういった悲しいものたちは、日々のアレコレが心に蓄積されて何か分からないけど泣きたくなった時などにデトックスとして活用する、というのが今の私の使い方です。具体的に言えば、そういうものに触れてひっそり泣いて吐き出すということ。

でも男の人って泣きませんよね。「男が泣くな!」という教育の結果なのかもしれませんが、我が夫や父親を長年観察してもそうですし、男性脳のなせる技なのかもしれませんが、なんかコレすごいことだなって最近気づきました。子育てとか家事に関しては、ママ友たちの話などを総合してみても男性陣の常識のなさに愕然とすることが多く、「男って…」と毒づきたくなることも多かったのですが、「涙を流さない」という視点から見たとき何か男の人スゴイって思いました。男性の皆様、お疲れ様です。滅多なことでは泣かない男性が、どうやって気持ちを浄化しているのかが今度は気になってきました。

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