イタリアの輝きと歪み
本稿は2020年9月26日にSalon de ぷりんしぱるで開催の中田聖子チェンバロコンサート「チェンバロの時間 --イタリアの輝きと歪み--」公演のプログラムノートとして作成したものである。この公演では17世紀イタリアの音楽を中心に組んだプログラムをAaron Mean tone(1523)の音律解釈を用いて演奏した。
「チェンバロの時間 —イタリアの輝きと歪み—」
<プログラム>
・ヨハン・セバスチャン・バッハ : A.マルチェッロのオーボエ協奏曲に基づくチェンバロ独奏用協奏曲 ニ短調 BWV.974
Johann Sebastian Bach (1685-1750) : Concerto d-moll BWV 974 nach dem Concerto d-Moll für Oboe, Streicher und Basso continuo von Alessandro Marcello
1. アンダンテ Andante 2. アダージョ Adagio 3. プレスト Presto
・ジョヴァンニ・ピッキ : トッカータ
Giovannni Picchi (ca.1571-1643) : Toccata
・ピーター・フィリップ : アマリッリ
Peter Philips (1561-1628) : Amarilli di Julio Romano
・ジローラモ・フレスコバルディ : トッカータ 第6番
Girolamo Frescobaldi (1583-1643) : Toccata Sesta (1637)
・ジローラモ・フレスコバルディ : チェント・パルティータ
Girolamo Frescobaldi (1583-1643) : Cento Partita sopra sopra Passacagli
・ベルナルド・パスクィーニ : トッカータ かっこうの戯れ
Bernardo Pasquini (1637- 1710) : Toccata con lo scherzo del cucco
・ミケランジェロ・ロッシ : トッカータ 第7番
Michelangelo Rossi (ca.1601-1656) : Toccata Settima
・ベルナルド・パスクィーニ : ベルガマスカ
Bernardo Pasquini (1637- 1710) : Bergamasca
・ベルナルド・ストラーチェ:チャッコーナ
Bernardo Storace(ca.1637-ca.1707) : Ciaccona
[Tune: Aron’s mean tone (1523)]
「イタリアの輝きと歪み」 プログラムノート 中田 聖子
1. イタリア音楽の他地域での受容
バロック中期から後期にかけての作曲家は、いずれの地域においてもイタリア音楽からの影響を少なからず受けていた。バロック時代の代表作曲家として必ず名が挙がってくるドイツのヨハン・セバスチャン・バッハ Johann Sebastian Bach (1685 Eisenach -1750 Leipzig) にも、史実と音楽作品の両面から、イタリア音楽の受容を見ることが出来る。
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関西を拠点に演奏活動を行なっているチェンバリストhttps://www.klavi.com