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暗闇下山か山頂泊か……筑波山で究極の選択を迫られた話

2021/9/10筑波山(つつじヶ丘駅~おたつ石コース~白雲橋コース合流~女体山山頂~つつじヶ丘駅)

夏休みをとって、半年ぶりに山登り……というわけで、筑波山に登ってきたのですが、もはや、いろいろ反省しかない……。

そもそも最初から計画が甘かった

久しぶりの登山、早起きするぞーと勢い込んで寝たはいいものの、起きたら朝の10時! これはマズイ。結局、秋葉原駅から、つくば駅に向かうつくばエクスプレスに乗り込んだのは、11時14分。つくば駅着は12時6分という体たらく。計画性のある人なら、そろそろ下山を始める時刻です。

つくば駅から、筑波山の登山口である「筑波山神社バス停」「つつじヶ丘バス停」までは1時間に1本、シャトルバスが出ているのですが(A4出口を出てすぐなので、わかりやすい)これを13時まで待つとすると、筑波山までは50分かかるから、登り始めるのは、だいたい14時か……。そして帰りはロープウェイかケーブルカーで帰るとした場合、この時期の最終便の時刻は16時40分。使える時間は、およそ2時間半です。

この時点で、これは計画変更したほうがいいんじゃないか……というイヤな予感がヒシヒシとしてきたので、とりあえずバスの待ち時間に、観光案内所に行って相談してみることにしました。

白雲橋コースとおたつ石コース

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観光案内所は閉まっていたけど、バスの案内所のお姉さんが親切にマップをくれました。

筑波山にはさまざまな登山ルートがありますが、今回、登るつもりだったのは、「白雲橋コース」。筑波山のホームページによると、「弁慶七戻り(べんけいななもどり)」「高天原(たかまがはら)」「胎内くぐり(たいないくぐり)」などの巨岩、奇岩が続き、筑波山の魅力を一気に満喫できるコースなのだそうです。

とはいえ、この「白雲橋コース」、岩だらけでけっこうハードだと言われているうえに、所用時間は上り1時間50分。私の体力とスピードだと、人の2~3倍は見ておきたいので、2時間半はちょっとこわいな。

それならば、この「おたつ石コース」はどうだろう。弁慶茶屋跡地までが40分、白雲橋コース合流で岩の名所も見れるし、合計しても80分。本当は3倍見ておきたいけど、2倍の時間をとっておけば、まあ大丈夫だろう……前回の宝登山もそのくらいで登れたし。

時間があれば女体山駅から筑波山山頂駅まで歩いてケーブルカーで帰ってもいいし、時間がなさそうなら女体山駅からロープウェイで下ればいいや。

そんなふうに思って、やってきたシャトルバスに乗り込んだわけです。

バスの車窓から眺める筑波山が美し。

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なんでこんなに丸太と岩なんだ

さて、コースを白雲橋からおたつ石に変更したので、降りるバス停も「筑波山神社バス停」ではなく、「つつじヶ丘バス停」に。

あまり時間がないので、降りてすぐに登り始めます。ここで最終バスの時間をチェック。このシーズンは17時か……最終ロープウェイから直行する感じだな。

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登山口からけっこう急な階段(しかもわりと長い)を登っていくと、だんだんと整備されてる感がなくなってきて、岩やら丸太だらけに。

えっと、ここ進むの? マジですか。

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そういえば「おたつ石コース」について全然調べてこなかったけど、大丈夫かこれ……と思いつつ、岩やら丸太やらのなかをゼエゼエ登っていく。

思えば前回の宝登山は稜線をわたっていく感じのハイキングルートがメインだったので、上りのキツさは最後の階段だけだったんですよね。これは勝手が違うな、さすが日本百名山……ってそれはあんまり関係ないか。

しかも前日が雨だっただけあって道も岩も丸太もぬかるんでるの何の。これは油断すると滑って転ぶやつじゃないか。

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救いだったのは、前回の経験に学んで、mont-bellで登山靴を買っておいたこと。さすがに滑らない。グリップしまくる。これがなければあと1時間は絶対かかった。今回は、正直、この靴のおかげで、なんとかなったといっても過言ではないと思います。

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ちょっと休憩して水を補給。水は1.5リットルのを持ってきた。

関東平野を見下ろすのいいなー。

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道はいったんマシになったり、またもや急勾配になったりの繰り返し。すれ違う人たちと、「あとどのくらいですかー」「まだまだありますよーこの先はきついですー」的な会話を交わしながら、ヨレヨレ進む。

↓マシな道

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↓歩きづらい道

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↓だんだん休憩の頻度がふえていく……

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ようやく弁慶茶屋跡地

どうにかこうにか、弁慶茶屋跡地に到着。

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ああもう、ここまで80分かかってるしー!!!誰だよ、これを40分で登れるやつは。登山家だ、きっと登山家に違いない。もう植村直己さんの足で40分とか書いといてよ!(謎の逆ギレ)

とりあえず急ぎ足で、女体山山頂へと向かいます。

なお、こちらが女体山山頂へと向かうコース。これは道なのか。親切なお兄さんが教えてくれなかったら、絶対間違えた方向に進んでたわ。

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そして、ここからは「白雲橋コース」に合流。いよいよ名物の巨岩・奇岩が続きます。大丈夫なのか……。

「白雲橋コース」に合流。巨岩・奇岩の連続!

こちらは「弁慶七戻り」。あまりにも岩が落っこちてきそうで、あの武蔵坊弁慶も七回戻ったんだとか。なんだそのエピソード。あの弁慶が七回戻ったところを通れるわけがないと思うんだが!(泣)

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続いて母の胎内くぐり。岩を抜けることで、生まれたままの姿に立ち返るんだって。今すぐ立ち返って、抱っことかおんぶとかで山頂まで行きたいわ。

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出船入船。石の姿がまるで出ていく船と入っていく船のように見えるんだとか。

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北斗岩。天空に輝く北斗星のようにけっして動かないらしい。そりゃすごいや。

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と、このへんまではまだ岩の写真とか撮ってる余裕があったのですが。岩と岩の間はつねにこんな感じだし。

鎖場なんて聞いてないよう。

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もはや這いずって登るしかない。

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そして、気づけば16時すぎ。

下山する人たちが「18時までに下りないと日が暮れるぞ」とか会話してる。たしかに、調べてみたら(電波は終始通じた)日没は17:56だ。そして筑波山にはライトアップがない。懐中電灯などの装備も持ってない。

体力はまあ、きついけど時間かければ登頂も下山もできると思う。でも、スピードは別だ。

万が一16時40分のロープウェイに間に合わなかった場合(ケーブルカーは当然断念)、私の足でこの岩山を1時間半で下山できるだろうか……絶対ムリだ。上りの弁慶茶屋跡地の時点で、すでにそれくらいかかってるのに。しかもまっすぐな道ならともかく、この岩山じゃ、絶対迷う。しかも単独行だ。ムリしたところで、正直言って滑落する気しかしない。

それなら、なんだかんだであと数十分で着くであろう山頂まで登って、一晩過ごすほうがマシで安全じゃないか。朝になったら、気をつけて下山してもいいし、始発のロープウェイに乗ったっていい。ケーブルカーまで歩くのもいいだろう。低山の代表格みたいな筑波山の山頂で日没前からビバークしてる人間なんて、自分くらいかもしれないけど、道迷いや滑落を起こしてご迷惑をおかけしまくるよりはまだ良い気がする。しかしビバークなんてしたことないぞ。おにぎり3つとナッツとドライフルーツ、チョコレートに残りの水、あとはビニール袋くらいしか持ってない。動物とか虫とか出るのかな。ちょっと怖いんだけど!

暗闇下山か、山頂ビバークか。究極の選択に頭を悩ませながら、とりあえず猛スピード(全然早くないけど自分的には猛スピード)で山を這い登るのみ。

ちなみにご迷惑とは思いつつ、念の為、女体山ロープウェイにも電話をかけて確認したけれど、最終便はやはり16時40分とのこと。そして、山頂には泊まれるような場所はどこにもないとのこと。うん、そうだよね……。

なんとか下山しました

結局、山頂に着いたのは16時36分。

そこからダッシュでロープウェイを探し回るも見つからず、なんとか発見してロープウェイ乗り場に駆け込んだその瞬間、見えたのは去っていくロープウェイの姿でした……。

うわあ、もう駄目だ……と落ち込んでいたら、さっき電話をとってくださった係員の方が

「乗りますか?」

「乗ります!!!本当にすみません!!!」

もう申し訳ない以外に言うことがないのですが、最後の係員の方が下りる便に乗せていただき、なんとか下山。ロープウェイから見える関東平野の景色がものすごくキレイでした。そして、あれだけ大変だったのに、わずか8分で「つつじヶ丘駅」に到着。

16時56分に着いたので、なんとか17時のバスにも乗り込むことができました。(ちなみに、終バスを逃すとタクシーを呼んで7000円超かかるので、これも相当助かりました)

ドロドロになりながら、とにかく反省。

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つくば駅について、ようやく残っていたおにぎりをムシャムシャ。(食べる暇なんてどこにもなかった)

今回はとにかく、計画が甘かったと思います。

ロープウェイにもご迷惑をおかけしてしまったし、一歩間違えれば、それどころじゃない事態になっていたわけで。「白雲橋コース」を通ってたらもはや完全アウトだったと思うので、「おたつ石コース」にして2倍の時間を見たのは、まだマシな選択だったかもしれないけど、「おたつ石コース」がどんなコースかくらいは事前に調べておけば、こんなことにはならなかったと思います。

今後は気を引き締めて、対策を万全にして行動しようと、そう考えた今回の筑波山登山でした。






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