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膀胱炎の予防方法ー耳寄り健康講座⑩

 常磐病院院長の新村です。今回は「膀胱炎」についてご説明いたします。
 
【膀胱炎とは】

 膀胱炎は、尿を溜める働きを持つ「膀胱」が、何らかの影響により炎症を起こしてしまう病気です。

 多くの場合、細菌の感染が原因で、大腸菌などの腸内細菌が尿道口から侵入し、膀胱内で増殖することで炎症を発生させます。このような病気を「細菌性膀胱炎」と呼びます。

 膀胱炎は、「細菌性膀胱炎」と「非細菌性膀胱炎」に大別され、一般的に「膀胱炎」と呼ばれる病気の多くは「細菌性膀胱炎」に該当します。「非細菌性膀胱炎」の原因は様々で、加齢による膀胱の異常、膀胱周辺の組織の異常、自律神経や排尿に係る神経の異常などがあります。今回は、「細菌性膀胱炎(以下、膀胱炎)」にスポットを当ててご説明していきます。

 【膀胱炎の症状と検査方法】

 膀胱炎は、身体的な構造の違いもあり、比較的女性に発症しやすい傾向にあります。女性の2人に1人が発症するとも言われるほど身近な病気となっていますが、適切な治療をせず、そのままにしておくと、発熱や嘔吐、背中・腰の強い痛みなどの症状が現れる「腎盂腎炎」を引き起こす可能性があります。

 感染経路としては、主に大腸菌などの菌が尿道口を通り、膀胱に侵入することで炎症を起こします。膀胱炎の症状は、頻尿、排尿時の痛みや残尿感、血尿や尿のにごりなどが現れます。38度を超える熱が出る場合は、前述の「腎盂腎炎」の可能性もあるため、早めに泌尿器科を受診するようにしましょう。

 【検査方法と治療法】

 膀胱炎の疑いがある場合、まず尿検査を行います。尿検査で一定数の細菌や白血球が見つかると膀胱炎と診断されます。なお尿検査の際は、出始めの尿には雑菌などが含まれる場合が多いため、少し出した後の尿(中間尿)を採ることで、より正確な検査を行うことができます。

 細菌性膀胱炎の治療は主に抗生剤を用います。数日間服用を続けることで、抗生物質の効果によって細菌が抑制・死滅していきます。

 【膀胱炎の予防方法】

 以下の点に注意することで膀胱炎の予防効果を高めることができます。

 ◯長時間、尿を我慢しない

 通常、膀胱内の細菌は排尿によって体の外に排出されますが、水分不足によって尿の濃度が高まることで細菌が増殖したり、尿を我慢することで菌の繁殖を進めてしまいます。細菌の繁殖を抑えるために、水分を多めに摂り、尿を我慢しないようにしましょう。

 ◯ストレスを溜めない、体を冷やさない

 ストレスや疲れが溜まっていたり、体を冷やし過ぎると、身体の免疫力が低下します。菌の増殖を抑えるために、栄養バランスの良い食事を摂り、温かいお風呂に入り、十分な睡眠を取るように心がけましょう。

 ◯陰部を清潔に保つ

 細菌性膀胱炎は、主に肛門付近にいる大腸菌が尿道口から侵入し、膀胱内で繁殖することで炎症を起こしてしまいます。陰部を清潔に保つことを心がけ、性行為後もシャワーなどで陰部を洗浄することで、膀胱炎の予防効果が高まります。

 【最後に】

 膀胱炎は、男女ともに発症する病気です。頻尿・排尿時の痛み・残尿感など、排尿時に違和感を抱いている方は、お早めに泌尿器科を受診するようにしましょう。

しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。


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