【政経東北】ごみ大量排出地|巻頭言2024.08
会津若松市が5月20日に「ごみ緊急事態宣言」を出し、それに伴い7月19日に開催したタウンミーティングを取材した。54頁からその模様を含めた記事を掲載しているので、詳細はそれを読んでほしいが、関連取材で驚いたのが、福島県がごみの排出量で、全国ワーストだったこと。
環境省が毎年実施している「一般廃棄物処理事業実態調査」の最新版(2022年度調査)によると、県民1人が1日に出すごみの量は1021㌘で、富山県と並び全国ワースト。1人が1日に1㌔以上のごみを排出しているのだ。なお、同調査で1㌔を超えていたのは福島県と富山県のみ。
過去数年分の同調査を遡って見ても、最下位ではないにせよ、下から2、3番目に位置することが多く、常に最下位争いをしている。特に多いのが一般家庭から出される「生活系ごみ」で、これが常に最下位争いをする要因になっている。
とはいえ、福島県の1人1日当たりのごみ排出量自体は、それほど大きく変わっていない。例えば、同調査最新版から15年前の2007年は1071㌘で、全国平均の1089㌘を下回っている。順位にすると30位前後だった。
ただ、他県はその辺りから徐々に減りはじめ、福島県は取り残された格好になり、相対的に1人当たりの排出量が増えたのである。これは福島県がごみの減量化に熱心に取り組んでこなかったということもある。ごみの減量化には「分別の徹底」や「生ごみの水切りの徹底」などが不可欠。つまりはその周知・徹底が不足していたということだ。
一方で、福島県の県民性はと言うと、「控えめで生真面目」ということが挙げられる。もちろん、地域差はあるだろうが、総じて言うとそんなところと理解されている。「生真面目」なはずの福島県民が、ごみの出し方が「テキトー」なのは解せない。細かい分別の仕方、水切りなどによって生ごみの容量を減らすやり方や必要性を知らないから、ということに尽きるのではないか。
さらに、郡部では、かつては庭先でごみを燃やしていたという家庭も多いと思われる。ただ、2001年4月に「改正・廃棄物の処理及び清掃に関する法律」が施行されて以降は、いわゆる野焼きは禁じられた。そうした影響もあるだろう。
環境のためにも、もっと別なことに行政の予算を回せるようにする、という意味でも、ごみの減量化については、これまで以上に広く考えていかなければならない。(末永)
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