【義母と娘のブルース】【桜沢鈴】なかなかのイナカ 奥会津移住日記⑥note版
(2021年10月号)
会津若松に映画館、楽しみ‼︎
少し前の事、映画館で『シン・エヴァンゲリオン』を見たくなった。私は福島県奥会津に住んでいるのだが、そうなると最寄りの映画館はどこになるのだろうか。そんなふとした思いつきを地図と共にツイッターに書き込んだ。するとその呟きは広く拡散され、ネットニュース数社から取材される程の話題となった。
私の家から一番近い都会(と言っても車で一時間)、10万人都市である会津若松市に映画館が無い故に、一番近くで映画を見ようとすると新潟県、山形県、栃木県などの他県に遠征しなければならないのだ。
会津地域に住む人からはもの凄い量の共感のコメントを頂いた、そして昔は会津若松市に何軒か映画館があった事。最後に残っていた映画館が火事になってしまい、再建されなかった事。何度かシネコン(シネマコンプレックス)誘致の話があったが流れてしまった事を教えて頂いた。
その他の方からは「今時映画を見るのに県を跨がないといけない地域があるなんて!」と驚きのコメントがたくさん有った。
北海道の方からは「稚内にシネコンがあるよ」という情報(最北端!)
特に新潟、米沢の方からの「映画館に会津ナンバーの車がいっぱい止まっている理由がわかった!」とのコメントが面白かった。
そして何より、会津地域の方々の「映画館が欲しい!」という熱い思いが伝わってきた。
私はこの時まで、会津の人は映画に興味がないのだと誤解していた。
私は映画館が好きだ。
映画館はただ映画を見る場所ではない。物語と共に、誰かとの体験を記憶に焼き付ける場所だと思っている。祖父母と、家族と、友人と、いい感じのあの人と、一緒に映画を見た記憶はその映画をきっかけに鮮明に思い出せたりする。
会津の若者がそんな経験を気軽に出来ないのはちょっと悲しい気がしていた。
そんな時、飛び込んできたのが会津若松にシネコンができるかもしれないというニュースだ!
まだ確定では無いと思うが本当に心が躍った。
どうせならここで一つわがままを言ってみよう。
もし映画館を建てるなら……IMAX、超大型スクリーン、臨場感最高の画質音響、心地よい革張りのラグジュアリー座席、お酒の飲めるカップルシート、健常者も障害者もストレスを感じない考え抜かれたバリアフリー建築、スマートシティ会津の名にふさわしい最先端予約システム……! 米沢や新潟の人々が逆に会津に来たくなるオシャレでかっこいいデザインの映画館! 上記の中で何か一つでも「東北一」の物が欲しい!!
……はい……言うは易し。
この豪雪地・会津でどうやって維持管理するのかは考えていない。
それにこのコロナ禍、映画は家のテレビで、インターネットで見ればいいじゃないかと、映画館不要論が持ち上がっていたりする。
私の妄想する映画館を作るのはとても難しいだろう。
しかし逆風の吹く映画館に、新しい活用方法も編み出されている。
カンファレンス、ライブビューイング、仲間内で貸切り好きな映像を流したり、大画面でゲームをしたり。結婚式なんてアイデアもあった。映画を見る以外に、様々な文化の発信地として利用できるはずだ。
固定観念を捨て、柔軟な発想で、この閉塞した毎日に希望を見出せる映画館ができる事を祈ります。
映画館、楽しみ!!
さくらざわ・りん 大阪府出身。漫画家。7年前に会津若松市に移住し、現在は奥会津で暮らす。代表作『義母と娘のブルース』はドラマ化されて大ヒットした。
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