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【政経東北】捜査関係者の守秘義務違反|巻頭言2024.02

 自民党派閥の政治資金パーティーをめぐる事件が世間を揺るがすほどの事態になっている。

 きっかけは、2022年11月6日付の『しんぶん赤旗』が「パー券収入〝脱法的隠ぺい2500万円分〟不記載」と報じたことだった。2018~2020年に自民党最大派閥の安倍派や二階派など、5派閥の政治団体が、政治資金パーティーで得た計約2500万円の収入を政治資金収支報告書に記載していなかったことをスクープしたのだ。

 その後、神戸学院大の上脇博之教授が独自で調べ直したところ、自民5派閥の政治団体で、2018~2021年の4年間にわたり、計約4000万円の不記載があったことが分かり、東京地検に告発状を提出した。

 こうして本格的に捜査がスタート。1月7日には、東京地検特捜部が安倍派に所属する池田佳隆衆議院議員(比例東海)を逮捕した。安倍派から4800万円余りのキックバックを受けたにもかかわらず、自身が代表を務める資金管理団体の収入に記載せず、政治資金収支報告書で虚偽の報告をした政治資金規正法違反の疑い。一連の事件で初の逮捕者となった

 さらに、19日には大野泰正参院議員(岐阜選挙区)を在宅起訴、谷川弥一衆院議員(長崎3区)を略式起訴したほか、安倍派の会計責任者、二階俊博議員秘書、二階派の元会計責任者、岸田派の元会計責任者らを政治資金規正法違反の疑いで立件(在宅起訴、略式起訴)した。

 今後、この問題はどこまで波及するのか、政治にどれだけ影響を及ぼすのか、そもそも東京地検特捜部がどれだけ本気なのか、といったことが注目されるが、それとは別に気になるのは、この間の「捜査関係者によると……」という報道だ。

 ここで言う捜査関係者とは、事件の捜査に当たっている東京地検特捜部の関係者を指すものと思われる。しかし、検察官・検察事務官は国家公務員だから、国家公務員法第100条「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない」(守秘義務)の規定に従わなければならない。

 ところが、この間の「捜査関係者によると……」といった報道を見ていると、公式な発表とは別に、明らかに内部(捜査)情報をリークしていると思われるものもあり、これは同法違反に当たるのではないか。それも1つや2つではない。

 言うまでもなく、自民党の裏金事件は大きな問題だが、捜査関係者の守秘義務違反も、それと同じくらい大きな問題ではないか。(末永)



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