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インフルエンザにも要注意|耳寄り健康講座20

 常磐病院の新村です。今年の夏も新型コロナが流行しました。おそらく、来年のお正月明けも感染が拡大するのではと予想されています。新型コロナ同様、冬の時期に注意しなければいけない感染症が「インフルエンザ」です。今回はインフルエンザについてお話していきます。

 【インフルエンザとは】

 インフルエンザは、大正時代には「スペイン風邪」の名でも恐れられ、当時は全世界で2000万~4000万人が命を落としたという恐ろしい感染症です。日本では、例年12月~翌年3月頃にかけて流行し、症状としては、38度を超える高熱・喉の痛み・咳・鼻水・悪寒・全身の倦怠感などが発症します。風邪に似た症状と言えなくもないですが、急に高熱が出たり、強い倦怠感が出るなど、一般的な風邪よりも症状が重い点が特徴です。

 【インフルエンザの予防方法】

 インフルエンザは、新型コロナと同じくウイルスが病原となる疾患です。新型コロナ同様、主に口や鼻から体内に侵入し、1~3日ほどの繁殖期間を経て症状が現れます。

 新型コロナが拡大した2020~2021年のインフルエンザの感染者数は例年に比べ極めて少数でした。これは、皆さんが常にマスクを着用し、手指消毒を徹底した結果であると言えるでしょう。新型コロナ同様、インフルエンザウイルスもマスクの着用と手指消毒の徹底が感染対策に有用ですので、ぜひ継続をお願いします。

 【予防接種の有効性について】

 インフルエンザワクチンの最大の効果は、「重症化を予防する」という点です。1999年度に発表された国内の研究結果によると「65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34~55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止する効果があった」とされています。

 また、別の研究では、インフルエンザの発病防止の有効率が約60%であった(ワクチンを接種していれば約60%が発症を防げた)との報告も出されています。

 インフルエンザワクチンは、接種すると絶対にインフルエンザにかからないというものではなく、重症化予防や死亡率の低下、発症を抑える等の効果が一定数ある、というものになります。

 【流行時期とワクチンの効果期間】

 インフルエンザは、前述の通り、例年、空気が乾燥し始める12月頃から感染が広がり、年明けの1~2月頃に流行のピークを迎えます。インフルエンザワクチンの効果持続期間は、接種後約5カ月間と言われています。ただ、効果が現れるまで、接種後2週間ほどの期間が生まれてしまうため、毎年流行前のワクチン接種を推奨しています。

 【まとめ】

 インフルエンザは、高熱などの重い症状が出る感染症です。インフルエンザワクチンは、感染を100%防ぐものではありませんが、感染の発症率を下げ、かつ重症度を抑える効果が報告されています。

 感染を防ぐ方法としては、新型コロナ同様、マスクの着用、手指消毒が効果的です。インフルエンザと新型コロナの感染拡大を防ぐためにも、感染予防にご協力いただきたいと思います。

しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。


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