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【政経東北】コロナ新局面―巻頭言2022.2

 昨年末から、新型コロナの「オミクロン変異ウイルス」の感染が爆発的に増えている。1月28日には国内で8万1810人の感染者が確認され、1日の感染者数としては過去最高となった。今後も、感染拡大が懸念されている。

 オミクロン株の特徴は、ほとんどが軽症・無症状という。それはそれで厄介だ。軽症・無症状だと「自分がコロナ感染している」との自覚がないまま、職場・学校・家庭などに感染を広げる可能性がある。しかも、伝播力が強く発症までの期間も短いというから、なお厄介だ。本誌は以前から、大規模なPCR検査を実施して無症状感染者などをあぶり出し、陽性者を隔離するといった対応が必要と指摘してきたが、いまこそそれが必要ではないか。また、オミクロン株は重症化のリスクが小さいとされるが、ゼロではないことも注意しなければならない。

 医師でもある立谷秀清相馬市長は「ウイルス側も寄生するところがなくなったら生存できないわけだから、オミクロン株として形を変え『広く浅く』といった作戦に切り替えてきた。それをわれわれ人間がどう迎え撃つか。その戦いだ」と語っていたが、まさにそういうことなのだろう。

 一方、感染拡大を受け、福島県(内堀雅雄知事)は1月21日、国に「まん延防止等重点措置」の適用を申請し承認された。これを受け、1月27日から福島市、会津若松市、郡山市、いわき市、南相馬市をまん延防止措置の対象とした。ただ、感染拡大が全県下に及んでいることから、県独自の「非常事態宣言」を発令、まん延防止措置の対象を県内全域に広げた。内容は、飲食店に営業時間短縮や酒類提供の自粛、県民に不要不急の移動などを控えるよう求めるもの。期間は1月30日から2月20日まで。

 それに伴い、県は時短要請に応じた飲食店に「協力金」を支払うことを発表した。「21時までの時短営業・酒類提供は20時まで」の「A方式」と「20時までの時短営業・酒類提供は終日停止」の「B方式」に分け、交付額は「売上高方式」、「売上高減少方式」というものを用いるという。

 本稿執筆(1月28日)時点で、まだ申請・交付が行われていないため検証できないが、本誌では以前から「一律の協力金ではなく、実態に見合った休業補償をすべき」、「原発事故の賠償が参考になり、福島県は『補償』の知識があるのだから、良き先例になれる下地があり、先んじてやれば、ほかも追随する」と指摘してきた。今回の協力金支給がそれに近いものなのか、あらためて検証することにしたい。

(末永)


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