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【政経東北】議員の成り手不足に思うこと―巻頭言2023.4

 4年に一度の統一地方選挙がスタートした。本県は2011年3月の震災・原発事故で県議選、会津若松市長選、郡山市議選などが政令で延期され、現在もそのままの日程。そのため、4月に行われるのは10の首長・議員選挙にとどまる。

 近年の選挙で課題なのが「成り手不足」だ。議員選挙では、立候補者数が定数に満たない事態が起きている。首長選挙でも、檜枝岐村で現職が引退表明した後、手を挙げる新人がしばらく現れなかった。

 もっとも、定数を上回った議員選挙を見ても、立候補しているのは高齢者ばかり。若者や女性は少ない。結果、名誉職の気分で当選を重ねる高齢議員が未だに存在する。「選挙戦になるなら出ないが、無投票なら(ラクして議員になれるので)出てもいい」と他者の動向を見て告示日に立候補するか否かを決める人さえいる。これでは当選後、問題意識を持って議員活動をすることは期待できない。

 「政治家は『なりたい人より、ならせたい人』にやらせた方がいい」という言葉がある。ただ「ならせたい人」が必ずしも議員になっていない中、急速に進む人口減少で「なりたい人」すら減っている。挙げ句、その「なりたい人」が問題意識を持たないようでは、政治や行政が良くなるはずもない。

 本誌はこれまで、議員報酬を減らし、その分定数を増やすべきと主張してきた。若いうちから「議員専業」になると、生活のために当選することが目的になってしまう。だから、きちんと本業を持ち、二足のわらじで議員活動を行い、報酬は少なくて十分と論じてきた。しかし、この先も人口減少が進むとなると、その論は成立しなくなるかもしれない。

 ならば定数を減らし、その分議員報酬を増やして専業化を進めればいいかというと、それも違う。高額の報酬目当てに選挙だけ頑張り、当選したら何もしないとなったら、それこそ本末転倒だ。

 当選後の活動を有権者が監視することも必要だが、大事なのはやはり、議員になろうとする人が問題意識を持っているかどうかだ。「まずは課題解決が第一で、報酬は後からついてくるもの」という考えの議員が増えれば、そのうち自然と「これだけ一生懸命やっているのだから、活動に見合った報酬を支給すべき」となる。要は今までが、活動に見合わない高額報酬だったのだと思う。

 人口減少とも関連する以上、一朝一夕で成り手不足が解消するとは思わないが、高い志を持った議員が増えないと、地域が抱える課題は解決には向かわないのではないか。(佐藤仁)

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