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【常磐病院】紫外線の影響|耳寄り健康講座26

 皆さん、こんにちは。常磐病院の新村です。気温もだいぶ高くなり、日差しも強くなってきましたね。これからの時期、女性は特に「日焼けが気になる」と考える方が多いのではないでしょうか。今回は、女性だけでなく男性にも知っておいていただきたい「紫外線」の影響について簡単にお話ししていきます。

 【紫外線とは?】

 紫外線は、太陽から注がれる光の一種で、目には見えない光線です。紫外線は、波長の長さによって「UV―A」「UV―B」などの種類があります。UV―Aは紫外線の9割以上を占め、皮膚の奥深くまで浸透しシワやたるみの原因となります。一方UV―Bは、割合としては少ないものの、ダメージ量としてはUV―Aよりも数百倍強力と言われており、日焼けの主たる原因とされ、皮膚がんの発症リスクも高めてしまいます。

 なお、日焼け止めクリームに「PA+」や「SPF」といった表示がありますが、「PA+」はUV―Aへの防御効果があり、+が多いほど効果が高まります(※+値は最大4つ)。一方、「SPF」はUV―Bに防御効果があり、数値が高いほど効果が高まります(※数値は最大50まで)。

 また、肌だけでなく目へのダメージにも注意が必要です。短期間、強い紫外線を浴びることで発症する「急性」の症状としては、日焼け(肌の炎症)、紫外線による角膜炎などがあります。

 長期間、紫外線を浴び続けることで現れる慢性の症状としては、「菱形皮膚(りょうけいひふ=皮膚のシワ)」、「日光性黒子(にっこうせいこくし=肌のシミ)」、皮膚がん、白内障などがあります。

 【紫外線を防ぐ方法】

 紫外線を防ぐ方法として最も重要なのは「肌に光を当てない」という事です。衣類やサングラスも「UVカット効果」があるものの着用をおすすめします。今は薄手の衣類でもUVカット効果があるものもありますので、熱中症にも注意しつつ、肌に直接紫外線を当てないように心がけましょう。半袖のシャツなど肌を露出してしまう服装の際は、前述の「日焼け止めクリーム」や、日傘などがおすすめです。特に日傘は、日差しを避けるだけでなく、日陰を作ることで熱中症対策としても有用です。最近は、折りたたみタイプで雨傘兼用の日傘を携帯する男性も増えているようです。

 【日光浴のメリット】

 これまで紫外線の悪い面を取り上げましたが、紫外線はデメリットばかりでなく、身体に良い効果も与えています。まず1点目が「ビタミンDの生成」です。ビタミンDには、人間に必要不可欠なカルシウムのバランスを整えたり骨を丈夫にする効果があります。2点目が、幸せホルモンと呼ばれる脳内伝達物質「セロトニン」の生成です。日光を浴びるとセロトニン神経が活性化され、脳内でセロトニンが生み出されます。セロトニンは、リラックス効果やストレス解消、睡眠の質を上げる効果などが期待されています。

 なお、日光浴は1日15分程度で効果があるとされます。お昼時間の前後は紫外線量が増えるため、早朝に行うことをおすすめします。全身で日光を浴びることに抵抗感がある方は、日焼けの原因となる「メラニン色素」が少ない「手のひら」を日光に当てる「手のひら日光浴」がおすすめです。

しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。



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