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【政経東北】選挙カーで「名前連呼」の是非|巻頭言2023.11

 任期満了に伴う福島県議選が11月2日告示、12日投開票の日程で行われる。本号発売のころには、皆さんの地域でも、選挙カーが走り回っていることだろう(無投票の選挙区は告示日だけだが)。

 そこで1つ疑問なのだが、候補者の名前を連呼するだけの選挙カーは何の意味があるのか。

 これまでに筆者が聞いた限りでは、「例えば、自宅にいるときに、選挙カーから候補者の名前が聞こえてきたら、折り込みの選挙公報を見て、どんな人なのかをチェックすることもある。そういうきっかけとして重要なのではないか」という人もいるにはいるが、圧倒的少数派。

 逆に、「うるさいし、トロトロと走って交通の邪魔でしかない」、「ハッキリ言って迷惑」、「そもそも、名前を連呼して通り過ぎていくだけなのに、その人が議員になって何をしたいのか等々をどうやって知ることができるのか」といった否定派が少なくない。中には「うるさいし、迷惑。だから、そう感じさせるような場面に出くわした選挙カー(の候補者)を覚えておいて、その人にだけは絶対に投票しないようにしている」という人もいた。

 ただ、それよりも多いのは「選挙ってそういうものでしょ」という人。つまりは、「そういうものだと思っているから、特に考えたことがない」といった意見である。これまでに筆者が聞いた意見を正確にカウントしたことはないが、この意見が全体の6割くらいではないか。そのほか、「うるさい」、「迷惑なだけ」といった否定派が3〜4割。「選挙カーから候補者の名前が聞こえてきたら、折り込みの選挙公報を見て、どんな人なのかをチェックする」というような肯定派は1割にも満たない。

 もっとも、都市部と町村部で捉え方は異なる。町村部では「あの候補者は、選挙期間中、この地区に1回も選挙カーを回さなかった(あるいは来る回数が少なかった)」というような声を聞くことが少なくない。狭いコミュニティーでの選挙では、「顔見せ」や「あいさつ」といった感覚で捉えられているのだろう。そういった意味で、選挙カーでの「名前連呼」は必要とされている。一方、都市部では前述した「うるさい」、「迷惑」といった意見が多い。

 少なくとも筆者は、候補者はどんな人か、首長・議員になって何をしたいのか、が重要で、それ以外で投票を決めることはない。つまるところ、選挙カーで名前を連呼するだけの行為に意義を見出せない。選挙は、各候補者が政策をぶつけ合い、それを有権者に判断してもらう場であってほしいと思う。(末永)



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