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【政経東北】創刊50周年に思うこと―巻頭言2022.1

 本誌の創刊は1972(昭和47)年7月1日。今年で50周年、4月号で通巻600号を迎える。これまで幾多の困難に見舞われ、この10年を振り返っても震災・原発事故、さらには新型コロナウイルスという大ピンチに直面した。それでも今なお発刊を続けられているのは、ひとえに読者とスポンサーのご支援・ご協力のおかげと深く感謝する次第です。

 個人的なことを言わせていただくと、自分も1972年生まれなので『政経東北』と同い年、ということになる。入社したのは26年前で、当時、竹内陽一氏(元財界ふくしま主幹)とのトラブルは落ち着きを見せていたが、滝田三良弁護士との名誉棄損裁判は真っ只中。事情をよく理解せずに裁判を傍聴したり、訳の分からない言葉が並ぶ訴訟資料にひたすら目を通していたことを今でも時々思い出す。

 議員や市町村長、社長や商工会議所会頭など、記者の仕事をしていなければ会えなかったであろう人たちと若いころから接することができたのも貴重な経験だった。とりわけ知事や国会議員に会うときは、とても緊張した。特段の知識もない若造に質問され、それでも答えてくださったのだから、今思うと申し訳ない気持ちでいっぱいになる。

 そうこうしているうちに年月が経ち、周りを見渡すと、議員も社長も自分と同年代か年下の人が増えてきた。市町村長に同年代の方はまだいないが、全国に目を向けると北海道や千葉、大阪などで若い知事が奮闘している。世界では40代の大統領も珍しくない。昨年の総選挙では、国会で初めてとなる平成生まれの衆院議員が福島県から誕生した。

 こうした中で最近、自分にできることは何かを考えるようになった。若いころは、取材をしても相手の話を「うかがうこと」しかできなかったが、少しは知識や経験を備えた今は、相手の話を聞きつつ一定の意見を述べられるようになった。背景には、同年代や年下が増えたことで話が自然と嚙み合うようになり、相手との信頼関係が築き易くなった結果、意見が言えるようになったことがあるが、それが政治活動や経営に反映されれば相手にとってメリットになるだろうし、自分も役に立てたと感じられる。

 実はこれ、弊社主幹からそうあるべきと口酸っぱく言われ続けている「本誌のもう一つの役割」だが、正直〝大先輩たち〟に若いころの自分が言えることはなかった。しかし、これから先はお役に立てることがあるだろうと思っている。50周年を機に、読者・スポンサーへの更なる貢献はもちろん、知り合う方々の力になれるよう精進を重ねていきたい。 

(佐藤仁)


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