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頻尿の原因と改善方法ー耳寄り健康講座⑨

 常磐病院の新村です。今回は「頻尿」についてお話していきます。
 
【排尿の仕組みと頻尿の定義】

 尿は、血液の中の老廃物などを腎臓で濾過し膀胱に蓄積したもので、一定量が溜まると膀胱から脳へ尿意のシグナルが出され、おしっことして体外へ排出する仕組みとなっています。人の膀胱の平均的な容量は、300~400㍉㍑程度と言われ、そのおおよそ半分である150〜200ミリリットル程度の尿が溜まると尿意を催します。

 「頻尿」とは、この膀胱が過敏に反応してしまう症状です。一般的な目安として、朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上ある場合に「昼間頻尿」。夜間就寝中に2回以上トイレに起きてしまう場合に「夜間頻尿」と判断します。

 【頻尿の原因】

 頻尿の原因は様々です。単純に水分の摂取量が多い人はその分トイレに行く回数も増えます。一方で、ご自身の生活習慣を見直すことで対処できる場合もある他、何らかの病気が原因で頻尿の症状が出ていることも考えられます。時には膀胱がんなど悪性腫瘍の場合もあるのでお早めに泌尿器科の診察を受けましょう。

 【生活習慣の見直しで改善】

 ●利尿作用がある飲み物を控える

 カフェインが含まれるコーヒーや緑茶、ビールなどのアルコール類などには利尿作用があります。これらの摂取量を減らしたり、就寝前の摂取を控えることで頻尿の予防が期待できます。

 ●ストレスを溜めない

 精神的な問題で頻尿になる「心因性頻尿」というものもあります。緊張してしまった場合には、深呼吸や軽い運動、大きな声を出す、好きなことをするなどしてストレスから離れることも大切です。

 【頻尿を引き起こす病気の一例】

 ●過活動膀胱

 膀胱にそれほど尿が溜まっていないにも関わらず、膀胱が過剰に活動することで尿意を催してしまう疾患です。尿が十分に貯まっていないのに、膀胱が勝手に収縮してしまい、急に我慢できないほどの尿意が発生し、何度もトイレに行きたくなってしまいます。

 ●前立腺肥大

 「前立腺肥大」は男性特有の疾患です。膀胱の下部にある前立腺が大きくなってしまい、尿道を圧迫し全て出し切る前におしっこが終わってしまいます。膀胱に尿が残っている状態で新たに尿が溜まるため、トイレに行く間隔が短くなってしまいます。

 ●骨盤臓器脱

 「骨盤臓器脱」は女性特有の疾患です。骨盤の中にある膀胱や直腸、子宮などの臓器を支える骨盤底筋が衰えてしまうことで子宮などの臓器が膣から出てしまう疾患です。骨盤底筋が弛んでしまうことで尿道を締める力も弱まってしまうため、頻尿や尿失禁など排尿障害が現れます。

 ●膀胱炎

 「膀胱炎」は、細菌が原因で膀胱内の粘膜に炎症を起こす病気です。炎症によって膀胱内の神経が刺激され頻繁に尿意を催すようになります。頻尿の他、排尿痛やおしっこの濁り、残尿感などの症状が発生する場合もあります。

 【最後に】

 頻尿などおしっこのトラブルは、男女とも加齢とともに増えていきます。毎日の飲み物や摂取回数、摂取する時間などにも気をつけつつ、気になる際はお早めにかかりつけの医師にご相談ください。

しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。


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