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【政経東北】「50周年記念号」を発刊して―巻頭言2022.11

 本誌は1972(昭和47)年7月に創刊号を発行して今年で50周年を迎えた。それを記念して10月20日に50周年記念増刊号を発行・発売した。地方を拠点とする月刊誌として、50年も続いてきたことに、読者・スポンサーには感謝しかない。

 筆者が直接知る「『政経東北』の歴史」は20年ほどだが、その中でも印象に残っているのは「3つの事象」だ。1つは当時の佐藤栄佐久知事が逮捕された県政汚職事件(2006年)。中央紙や週刊誌の取材班が大挙して福島県に訪れ、本誌主幹・奥平のところにも情報収集のため、多くの記者が訪ねてきた。本誌でも、「『談合事件』でついに辞職した佐藤知事」(2018年10月号)ほか、関連の記事を掲載した。

 2つは東日本大震災・東京電力福島第一原発事故。特に原発事故の影響は大きく、以降、数年間は本誌最大のテーマになった。当時はとにかく知識がなく、専門家を招いての説明会や、避難指示区域の住民を対象とした説明会などに足を運んだ。一定の落ち着きを取り戻した後は、事故原発の状況、賠償問題、健康問題、食品(県内生産物)の安全性、帰還政策の是非などが主なテーマだった。特に筆者は、賠償問題についてはかなりの事例を取り上げた。この問題は11年半以上が経ったいまも裁判で係争中の事案が多数あり、解決には至っていない。それどころか、汚染水の海洋放出が決定され、さらなる被害が生まれる可能性もある。その点は今後も注視していきたい。

 最後に2020年初頭から続く新型コロナウイルス。この問題は、当初はそれほど重く受け止めていなかった。ただ、同年4月に政府が東京など7都府県に緊急事態宣言を発令し、後に対象地域を全国に広げた。これによって、「震災・原発事故に匹敵するか、それ以上の事態になっている」と感じるようになった。正直、「思考停止状態」に陥っていたが、何とか気持ちを入れ直して取材に当たった。本誌では、感染拡大を防ぐためにはどうしたらいいか、経済活動停滞に伴う企業の経営難や、生活苦などによる自殺などの間接的被害をどう防ぐか、さらにはコロナ禍での「火事場泥棒」的な事案の告発記事などを掲載してきた。いまは感染力が非常に強いものの、重症化リスクは低いとされる「変異株」が主流になり、以前よりは脅威が薄れてきた。ただ、完全な収束までは予断を許さず、今後も課題が発生するだろう。その時に本誌として何ができるかを考えている。

 ここで紹介した「3つの事象」については、50周年記念増刊号でも詳しく振り返っているので、読んでいただければ幸いだ。

(末永)


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