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男子性機能障害(勃起障害)ー耳寄り健康講座⑪

 常磐病院の新村です。

 本誌は中高年の男性読者が多いとのことですので、今回は「男子性機能障害」いわゆる勃起障害についてお話いたします。

 勃起障害は英語で書くと「Erectile Dysfunction」となり、その頭文字から「ED」の呼び名でも広く知られています(以下EDと表記)。実は、EDの症状の陰に大きな病気が隠されている可能性もありますので、ご注意くださいね。

 【勃起のメカニズム】

 通常、勃起は脳が性的興奮を覚えると、その信号が神経を伝わりペニスへ伝達されます。ペニスの中には海綿体というスポンジ状の組織があり、そこに大量の血液が集まることでペニスが膨張します。

 血液を送り出す静脈は、膨張する動脈に圧迫されることで塞がれてしまうため、血液がペニスに留まることで硬さを維持する、という仕組みになっています。この機能が適切に働かなくなってしまうと、EDとなってしまいます。

 【EDの原因】

 勃起障害の原因は、心因性のものの他、薬剤が原因となるもの、その他加齢・肥満・喫煙・運動不足・高血圧・糖尿病・心血管疾患・慢性腎臓病等、器質性のものも様々な原因が考えられます。

 EDの注意すべき点は、単にペニスの問題だけでなく、その陰に他の疾患が隠れている可能性があるということです。「年も年だし、治療しなくて良い」と考える方もいるかもしれませんが、命に関わる重大な病気が隠れている恐れもあるため、不調を感じた際は、早めに泌尿器科への受診をおすすめします。

 【EDの治療法】

 EDの治療は、まずその原因が何かを探ることから始まります。心因性のものであれば、ストレスの原因を解消すること。器質性のものであれば、検査を行いその原因となる疾患を治療すること、また内服薬の処方などがあります。

 処方薬としては、「バイアグラ」「シアリス」などの名前を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。

 これらの薬は、性的興奮がなされた時に血流が悪くなってしまう症状を一時的に緩和する作用をもっています。一般的には、服用後30分から1時間ほど経過した後に薬効が現れます。

 【ED治療薬の処方】

 EDの治療薬は、医師の診察なしに処方することができない薬剤です。通販サイトでの販売が横行していますが、必ず医師に処方してもらったものを服用するようにしてください。通販サイトで購入した薬剤は、常用している薬との飲み合わせの面からも危険な可能性があります。

 【ED治療薬の副作用】

 頻度の多い副作用は、ほてり・頭痛・鼻づまり・動悸などが挙げられます。いずれも一時的なものであり、軽度〜中等度の場合がほとんどです。常用薬との飲み合わせなども関係してくる場合がありますので、服用の際は必ず医師と相談の上、使用するようにしましょう。

 【まとめ】

 EDは、重大な病気が隠れている可能性があります。早めに泌尿器科を受診するようにしましょう。

 また、EDの治療は、その根本となる原因を解消・治療する必要がある他、ED治療薬を使用する際は医師に相談の上、服用するようにしましょう。

しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。


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