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胸焼けは消化器疾患の前兆|耳寄り健康講座22

 常磐病院の新村です。本年もどうぞよろしくお願いいたします。さて、皆さんは年末年始をどのようにお過ごしになったでしょうか。おせち料理やお雑煮などをおなかいっぱい食べたという方も多いと思います。おいしいからと言って食べ過ぎると「胸焼け」を起こすこともあるわけですが、今回は、そんな胸焼けをテーマにお話ししていきます。

 【胸焼けとは】

 胸焼けは、前胸部が下から上へと熱くなる、ヒリヒリする、重くなるような不快感を抱く症状です。胃の内部にある「胃酸」が食道へ逆流することで、胸焼けが発生します。

 胃酸の主な成分は「塩酸」です。胃酸は食べ物を消化させる役割を担っているほか、食物と一緒に胃に入った菌やウイルスを殺菌しています。胃は粘膜を分泌することで、そんな強力な胃酸から組織を守っています。しかしながら、食道は粘膜を分泌することができないため、胃酸が逆流してしまうとダメージを受けてしまいます。このダメージが、前述の「胸が熱くなる、ヒリヒリする、重くなるような不快感」などとなって現れます。

 【胸焼けと関連する病気】

 胸焼けは、前述した通り、一般的に胃酸が食道に上がる(逆流する)ことで症状が現れます。胃酸等の影響により食道の粘膜がただれ、炎症を起こしてしまうと「逆流性食道炎」等の病気に繋がります。

 逆流性食道炎は、胃酸を抑える薬などによって一時的に症状が治まっても、再発の頻度が高く、長い時間を掛けて治療に取り組んでいくことが多い病気です。生活習慣によって症状を改善することも可能な病気なので、逆流性食道炎にお悩みの方は、次項の注意点をご確認ください。

 【逆流性食道炎を改善するための生活習慣】

 逆流性食道炎の改善には「胃酸を出しすぎない、逆流させない」ということが大切です。

 食事面での注意点としては、

 ・1回の食事量を減らす
 ・早食いをしない
 ・冷たいものを取りすぎない
 ・動物性脂肪の多い食事や甘い菓子などの摂取を避ける
 ・柑橘類など酸味の強いものやアルコールの摂取を控える、など。

 行動面での注意点としては、

 ・食後すぐに横にならない
 ・腹部を圧迫しない 
 ・喫煙しない
 ・上半身を高くして寝る、または  身体の左側を下にして寝る、な  ど。

 肥満気味の方や猫背の方も腹部を圧迫しがちですので、減量や姿勢の改善も意識すると良いでしょう。

 【まとめ】

 胸焼けは誰しも起こる症状ですが、食後にたびたび胸焼けしているという方は、逆流性食道炎など消化器系の病気が隠れている可能性もあります。そのような方は、ぜひかかりつけの医療機関やお近くの消化器内科の受診をおすすめします。常磐病院でも消化器内科を開設しておりますので、お悩みの方はお気軽にご相談ください。

しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。


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