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誰にも起こりうる尿路結石ー耳寄り健康講座③

今月のアドバイザー
常磐病院 新村浩明 院長

 皆さん、こんにちは。ときわ会常磐病院の新村です。今回は「尿路結石」をテーマにお話ししていきます。

 【尿路結石とは?】

 「尿路結石」とは、尿路(おしっこの通り道)に結石が詰まってしまう病気です。「尿路」とは、腎臓・尿管・膀胱・尿道のことを言います。また「結石」は、尿中に含まれるカルシウム、マグネシウム、尿酸などの成分が結晶化したものを言います。

 【尿路結石の原因】

 尿路結石は、中高年男性が発症しやすい傾向にありますが、性別・年代を問わず誰にも起こりうる病気です。主な原因としては、水分の摂取量が少ない、生活習慣・食生活が乱れている、肥満などがあります。尿路結石を発症すると、半数近くが5年以内に再発することもわかっています。しっかりと水分を摂取することや、食事や生活習慣の改善が再発予防に効果があると期待されています。

 【尿路結石の症状】

 ほとんどの結石は、腎臓の中で作られます。その症状は、痛みと血尿です。腎臓内にある時は身体の痛みはほぼありませんが、石が下降し尿管で詰まってしまうと、脇腹や腰などに激痛を発するようになります。結石が膀胱近くまで下降してくると、排尿後の残尿感が出たり、尿意が頻回になったりすることもあります。また、右記の症状とともに発熱を伴う場合には細菌感染を伴っている可能性もありますので、お早めの受診が必要です。

 ●症状=下腹部の痛み、脇腹や腰の痛み、血尿、ソ径部・睾丸部の痛み、残尿感、頻尿、時に発熱

 【治療法】

 結石の大きさがおおよそ10㍉以下の場合は自然排石が期待できるとされているので、その際は水分を多めに摂取して尿量を増加させたり、運動によって結石の排出を待ちます。

 一方、結石がある程度の大きさまで成長している場合は、結石を破砕し排出させる必要があります。体外衝撃波砕石術(ESWL)といわれる衝撃波を結石に照射し破砕する方法や、経尿道的尿管砕石術(TUL)といわれる尿管鏡を挿入し、レーザーで破砕する方法、経皮的腎砕石術(PNL)といわれる直接腎臓へ内視鏡を挿入し破砕する方法などがとられます。

 【結石の予防方法】

 前述の通り、尿路結石を発症した方の半数近くが5年以内に再発することがわかっています。尿路結石の予防策として重要なのは、①水分をたくさん摂取する、②シュウ酸・プリン体を多く含む食物を控える、③カルシウム・クエン酸を多めに摂取する、④規則正しい生活を送る。これらに気をつけてお過ごしください。

 結石により尿路が詰まってしまうと腎臓の機能が低下する原因にもなり、速やかな治療が必要となります。尿路結石の症状が疑われる場合は、お近くの泌尿器科をお早めに受診してください。


しんむら・ひろあき 1967年生まれ。富山大学医学部卒。専門は泌尿器科。2015年から現職。


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