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男の言い分

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テーマ:熟年離婚 月刊『政経東北』|多様化時代の福島を読み解く|地元メディアが報じない出来事を追跡|旬の人、政治家、業界人をインタビュー|株式会社東邦出版(福島県福島市)が発行…
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記事一覧

【熟年離婚】〈男の言い分72〉

妻が、セールスで大稼ぎ、〝投資〟で大損で、わが家の預金・残2万円ーアウトで  S氏、59歳。会社員。昨年9月、1歳下の妻と離婚。  専業主婦で、たまにスーパーのパートをしていた妻が“一念発起”して、彼女の“ビジネス”を始めたのは、長男が高校に入った時。「大学の学費と下宿代を貯める」と張り切るので、私も賛成しました。一介のサラリーマンが、2人の息子を大学にやって、下宿暮らしなんてことになれば、それなりの大金が要りますからね。次男の進学も2年後に続くので、一介のサラリーマンとし

【熟年離婚】〈男の言い分71〉

車の小事故続きの妻ー運転免許を無理やり返納させたら、結婚生活も「返納」することになりました。  Y氏、59歳。会社員。1歳上の妻と4月に離婚。  高齢のドライバーがブレーキとアクセルの踏み間違いで、悲惨な事故を起こす事件が多いですよね。妻も、いつかそんな事故を起こすんじゃないか、ほんとに心配でたまりませんでしたよ。  妻―と言っても「元・妻」ですがね―が運転免許を取ったのは、30代の終わり頃―娘が高校生になって部活帰りが遅くなるので迎えに行く、と―。娘はバス通学でしたが、

【熟年離婚】〈男の言い分70〉

「もったいない」と妻がため込んだモノで満杯の家。整理でもめた末、亭主の私が整理された。  K氏、63歳。昨年10月、2歳下の妻と離婚。  今はもう、すっきり一人暮らしですが、それまでの“わが家”の、モノモノモノであふれ返った凄まじさといったら、いやはや、思い出すだけでもくたびれますよ。  元・わが家は2階建てで、下は6畳二間、8畳のリビングとダイニングキッチン、2階は6畳二間と廊下という、ごく普通の家ですが、結婚生活35年間で2階建て“デラックス物置”に変身してしまいま

【熟年離婚】〈男の言い分69〉

あらら、共働きで長く単身赴任してた妻が、現地に自分の家建てて暮らしていた。  D氏、62歳。同い年の妻と今年1月離婚。  私の家は4代続く農家ですが、今は80代になった両親と私で、やっと持ちこたえてやっているところ。父は前から「俺の代で百姓は終わりにする。この先、小さい農家では食っていけね」と言って、「何があってもいいように、大学に行け」と、もともと乏しい畑を売って、私を大学に行かせてくれたんです。  妻とは、その大学のサークルで知り合って―卒業後、私は地元の町の会社に就

【熟年離婚】〈男の言い分68〉

嫁姑のバトルを我慢している夫はいっぱいいますよ。だけど、私の場合は、妻の一言でアウトでした。  B氏、67歳。元会社員。昨年12月、2歳下の妻と離婚。  私は、3歳で父を亡くして、その時、24歳だった母と、「母子家庭」で育ちました。母と私は、母の実家―農家です―の近くの、小さい借家で暮らすことになって、父親が勤めていた会社の社宅を出る時の、引っ越しをぼんやり憶えています。  母は、隣街の織物工場に勤めに出て、その間、私は、母の実家に預けられて、じいちゃん、ばあちゃんに面倒

【熟年離婚】〈男の言い分67〉

あの大震災から避難して、知らない街で暮らしたが、ふるさとの潮風の匂いが恋しい。ただ、それだけだよ。  K氏、73歳。元・農業。4歳下の妻と昨年末、離婚。  あの津波と原発事故から、ずいぶんと時がたったんだなぁ。はぁ、ひと昔前の話になっちまった。浜の者、みんな大変な目に遭って、命からがら避難して来たのが、悪い夢みてぇだ。  俺の家は代々、農家でな、高台で米作っていたんだ。あの津波が来た時、ここは大丈夫だべ、とみんなで海を見ていて―初めの波は高台まで上がって来なかったが、次の

【熟年離婚】〈男の言い分66〉

三十過ぎの娘、息子がすねかじり、妻は無関心。どこで子育てを間違えたのか、どこで夫婦の平行線がずれたのかーだね。  K氏、61歳。元・会社員。昨年8月、2歳下の妻と離婚。  私の家族は、街で美容院をやっている妻と、34歳の娘、32歳の息子は無職で親のすねかじりでした。  私が結婚したのは26歳の時。2歳下の妻は美容師でした。私は当時、印刷会社の制作部でデザインを担当していたんですが、今の「働き方改革」なんて無かった時代ですから、毎日毎日、夜遅くまで働いていましたよ。そんな時

【熟年離婚】〈男の言い分65〉

6匹の犬を飼う女房に、犬とオレと、どっち取るんだ!と言ったら、「犬!」と即答された。 M氏。会社役員。62歳。3歳下の妻と昨年10月離婚。  今、私は、長いこと空き家にしていて取り壊す寸前だった実家で、一人暮らしをしています。9年前に父親が亡くなった後、今90歳の母は施設に入ったまま―という家。―家財道具や両親の衣類や台所のあれこれがみんなそのままで、取り壊す前の片付けを考えると面倒でね、ぐずぐず先延ばしにしてたんです。―それが今、自分の“終の棲家”になるとはね。いや、落

【熟年離婚】〈男の言い分64〉

「歯に衣着せぬ物言い」とは「人の心を踏みにじる暴言」でもある、と教えてくれたのは、妻です。  K氏、58歳。会社員。今年5月、同年の妻と離婚。  私は、この春に離婚したばかりで、まだ身辺が落ち着きませんが、心は落ち着きましたよ。妻とは、不貞とか借金とか、家庭内暴力など深刻な原因で別れたわけではありませんが、「熟年離婚」した人達がよく言うように、残りの人生を、心穏やかに、大事に生きていきたい、ただそれだけの理由です。  妻は、離婚に不服でもめましたが―ほら、運動会で二人で片

【熟年離婚】〈男の言い分63〉

妻の嫁いびりで、息子夫婦は別居中。夫の私は離婚。ほんとにもう、カンベンしてくれ。  F氏、62歳。自営業。3歳下の妻と、今年4月離婚。  まぁ、私は離婚、息子夫婦も離婚の危機―と父子揃って“おだやかな家庭”とは縁遠い人生ですよねぇ。―今となれば、こうなったのも、そもそも私の結婚が間違っていたんでしょう。友達に言わせると、「妻の教育」が初めからなってなかった、と言うんですが、彼だって「妻の教育」なんて、そんなオソロシイこと、やれてるはずがない。立派に奥さんの、特大の尻に敷かれ

【熟年離婚】〈男の言い分62〉

ラップで離婚。「そもそもサ♪ あんたはサ♬」「てめぇこそ♬」なんて、粋なラップじゃなくて、あの「ラップ」ですよ。  M氏、65歳。4歳下の妻と昨年末離婚。  私はね、自分のこれまでをふり返ってみると、何一つ“もの”にならない人生だった、と思います。  今さらだけど―グチ言っちゃうと、それは中学時代からですね。小学校では成績もずっと上位で、親は鼻高々でしたが、中学校では“普通”。少年野球では活躍していたので、勇んで野球部に入ったものの、自分より優れたやつがゴロゴロいて、試合

【熟年離婚】〈男の言い分61〉

認知症の親の介護で衝突、離婚―でも、誰だって「二度童子」になるかもしれない。  M氏、62歳。元会社員。今年2月、4歳下の妻と離婚。  私の生家は小さな町の八百屋でした。両親が頑張っていて、なかなかの繁盛店でした。しかし、私が中学2年、妹が小学4年の時に父親が急逝、それからは母が一人で店をやりました。まだ暗い内にリヤカーを引っ張って市場に仕入れに行き、青果の他に、手作りのおにぎりも売るようになりました。これがウケて―おにぎりは、海苔、焼き味噌の他に青しそ、筍飯、舞茸飯など季

【熟年離婚】〈男の言い分60〉

長年、誇りを持って頑張って来た私の職業を、妻は―リスペクトしていなかった。  N氏、58歳。医療従事者。3歳下の妻と昨年12月離婚。  私は、首都圏のある病院のレントゲン技師をして38年になります。  26歳の時、同じ職場の事務員と結婚しました。恋愛結婚ですよ。結局、別れることになりましたがね。  私が27歳の時に長男、30歳の時に長女が生まれ、一家4人、職場近くの小さな賃貸マンションで暮らしていました。妻も病院の事務のパートをしながら、まぁ、平穏に暮らしていました。

【熟年離婚】〈男の言い分59〉

13年前、意地と脅し半分で書いた「離婚誓約書」を妻に突き付けられてアウト!  A氏、60歳。会社員。今年3月、2歳下の妻と離婚。  還暦を迎えて、さてこれから第二の人生! と気合を入れた矢先に、31年連れ添った妻と別れることになりました。「突然離婚」を言われるなんて、ほんと寝耳に水、どころか寝耳に熱湯、でしたよ。  昔ね、いつもの夫婦喧嘩をはるかに超える大喧嘩をしたんです―その時、私が書いた、妻あての「離婚誓約書」を13年の時が経って突き付けられたんです。そんなもの、すっ