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千代田区議会から見る地方議会の話

千代田区議会の一件で、地方自治に大きく関心が寄せられました。
一旦、地方自治のあり方を見渡して置きたいと思います。

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国政は一元代表制であり、私達は国会議員のみを選びます。
一方地方政治は二元代表制と言い、行政の長(知事および市町村長)と地方議員を選びます。

一種の大統領制と見る向きもありますが、その一方地方議会は首長に対する不信任決議案を提出することが認められており(米韓では弾劾のみです)、不信任決議を出された首長は失職をするか、議会の解散を選択することができます。

今回の千代田区長は自らへの刑事告訴の決議を不信任決議と一方的に解釈し解散を迫りましたが、地方自治体の首長は首相のように自分で解散を行うことはできません。
また地方議会は出席議員の3分の2以上の出席で、かつ4分の3以上の賛成がないと不信任決議が通りません。国会であれば3分の1の出席の上で、その過半数に達すれば不信任決議が通ることとは、対象的です。首長も民意を直接得ているので、高い縛りが設けられています。
また首長が解散を選択した場合、選挙を経た上で、議員数の3分の2の出席で過半数の同意があれば、首長は失職します(もちろん出直し選挙となりますが)。

地方自治法第百七十八条
1,普通地方公共団体の議会において、当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をしたときは、直ちに議長からその旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。この場合においては、普通地方公共団体の長は、その通知を受けた日から十日以内に議会を解散することができる。
2.議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、前項の期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があつた日においてその職を失う。
3.前二項の規定による不信任の議決については、議員数の三分の二以上の者が出席し、第一項の場合においてはその四分の三以上の者の、前項の場合においてはその過半数の者の同意がなければならない。

手続きにおいてかなりややこしいのは、すなわち日本の地方自治はいわゆる大統領制と議院内閣制の折衷となっているという点によるものです。

何年か前にも似たような事例が鹿児島県阿久根市でありました。
竹原信一市長(当時)の、阿久根市政の混乱です。
竹原信一市長が選出される→議会から不信任決議が可決される→再召集された議会でまた不信任決議が可決される→出直し選挙で竹原市長が再選される....という混乱がありました。

その後竹原市長は専決処分を繰り返し、批判を浴びたことでリコールによってまた市長選となり、落選をしました。

専決処分というのは、緊急性が高い場合に行われる首長の大きな権限の一つです。ただ条例の制定や予算の執行には、もちろん予算そのもの裏付けが必要です。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57727400W0A400C2L83000/
https://www.sankei.com/life/news/200407/lif2004070109-n1.html

第百七十九条
1.普通地方公共団体の議会が成立しないとき、第百十三条但書の場合においてなお会議を開くことができないとき、普通地方公共団体の長において議会を招集する暇がないと認めるとき、又は議会において議決すべき事件を議決しないときは、当該普通地方公共団体の長は、その議決すべき事件を処分することができる。
2.議会の決定すべき事件に関しては、前項の例による。
3.前二項の規定による処置については、普通地方公共団体の長は、次の会議においてこれを議会に報告し、その承認を求めなければならない。

一時期都知事選でも、コロナ対策で都民に10万円を配るという候補がおりましたが、予算の裏付けが取れていないであろうということも、批判を浴びました。

地方自治というものは、なかなか厄介な代物です。
また地方政治においては、国政にはあまり見られない直接請求というものもあります。

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これは世界でもあまり見られない制度(だそう)ですので、積極的に活用させることを切に願います。

かのブライスは、「地方政治は民主主義の学校である」と述べたとされます。
私が声を大にして言いたいのは、地方政治の選挙こそ、まさに行くべきであると考えております。
意外と地方議員(特に市議)というのは身近な存在で、近くに住んでいたりするものです。
みなさんも地元に住んでいる市議さんを探してみるのは、いかがでしょうか。

P.S.
千代田区の件ですが、個人的にはここで終わりにせず、出直し市長選挙を行うか、議会のほうで思い切って不信任決議を行うべきであると考えております。あいまいなままは、最近の悪い癖です。

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