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株式会社トリーカ(鳥取市今町)

昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年12月15日号より、株式会社トリーカの記事をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、事業内容・方針、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。一部数字を漢数字から英数字に変更。


【事業所めぐり63】株式会社トリーカ(鳥取市今町)


わが国ファンデーション業界でずば抜けたシェアを占め、トップの座にある㈱ワコールに製品の約90%を納めている。ランジェリー、ファンデーション、アウト・ウェア、パーソナルウェアなど高級婦人用下着、はだ着類を生産する大手メーカー。県内を中心に西日本一帯に16もの工場を有し、その年間生産枚数は2500万枚にものぼる。

昭和36年、本件での縫製業界最初の誘致企業として名和町に進出した。当初の社名は鳥取西村メリヤス㈱。以来、好調な需要に支えられて工場の増設、生産設備の整備を行う一方、43年には原反生地の仕入れ先である蝶理㈱と共同出資して兵庫西村メリヤス㈱を設立、45年には岡山西村メリヤス㈱を設立するなど関連企業の拡充、強化も図っていった。

しかし、47年には業況の低迷などによって同社の発展の見通しが暗くなったため、創業28年という若い成長期にある企業・㈱ワコールにその将来を託すことを決め、鳥取、兵庫、岡山の西村メリヤス㈱3社を統合して称号をトリーカに変更、本店を名和町から鳥取市に移転した。

その後、オイルショックの影響で原反入が困難を極め、製品生産に苦しむという厳しい試練を経験したが、女性下着が化粧品としてのイメージでとらえられ始め、好調な販売の伸びに支えられ、この不況下にあってもフル操業を維持している。特にワコール製品はその奇抜なアイデアで多くの女性ファンを魅了、わが国業界の3分の1のシェアを占めているが、生産製品の95%がワコール製品である同社は、ここ2、3年対前年比25%増の年商で推移、ことしは98億円を計上した。

しかし、この不況の影響は避けられず「来年の年商はことしの20%増は見込めるものの、これまでのような25%アップは難しい」と平木敬取締役経理部長。それでも、ワコールの厳しい規格に基づき、確かな製品作りに努めている同社は、ワコール製品の25%を生産しているだけに「良い製品、適正な価格であれば必ず売れる」の信念を持っており、低成長時代に「品質で勝負していく」と意欲的な姿勢を見せる。

ともあれ、県内ではファッション産業のパイオニア。わが国縫製業界トップヘの歩みが期待される。(昭和52年12月25日号)



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