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鳥取県共済福祉会館(米子市)

昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年11月25日号より、鳥取県共済福祉会館の記事をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、事業内容・方針、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。


【事業所めぐり58】鳥取県共済福祉会館(米子市)


勤労者のための福祉施設として誕生した同会館も、ことしで創立満10周年を迎えた。

山陰の商都・米子の国道9号線沿いという県下でも一等地におよそ1億5000万円を投じて建設されたこの福祉会館。共済組合員3万5000人の出資金をもとに、組合員を中心とした結婚式、宿泊、会議などに広く利用されてきた。勤労者のための福祉施設ということから低料金を原則にした営業を行ってきたが、「安かろう、悪かろうでは―」と接客業としてサービスマナーの向上には万全の構えをとっている。特に昨年の改築による模様替えは、こうした施設に重要なイメージアップという面から大きなメリットがあった様である。

総体的には「ことしは、不調」といわれる結婚式だが、同じ市内の結婚式場が改築中ということもあってか「ウチはむしろ増えています」ということで、「最も多い日は1日で14組もさばきました」 とフル回転にうれしい悲鳴。

また、年々派手になってきたといわれる婚礼費用について、「低料金ということがウチの場合は原則ですし、平均して1人前1万円というところです。しかし、招待客の数などをみると確かに増加傾向」ということであり、貸し衣装、式場費などを加えるとやはリ100万円近くなるらしい。しかし、同会館の場合はできるだけ安くするということが趣旨であり、そのためには必然的に「回転率をよくして、薄利多売に徹するしかない」と貸し衣装なども1回あたりの単価は、他に比べて相当安くなっている。こうした薄利多売の鉄則は食堂や宿泊料金などすべてに貫かれている。ちなみに同会館の宿泊料は2食付きで3950円、コーヒーは150円とまさに勤労者向き。

ともすればお役所的感覚が表面に出て、接客業としての基本姿勢がなおざりになりがちな公共的施設だけに「接客マナーについては最も心がけている」と長尾利正副支配人。営業活動にも積極的に力を入れ、小、中学校や県庁などへも外商部員が出かけ、厳しい環境の中で「お客獲得」に懸命。また、「組合員をおろそかにした員外利用に力を入れ過ぎだ」とする批判については「組合員から嫌われるようになったらおしまい。組合員から喜ばれることが基本です」と断言、組合員第一主義を強調する。

宿泊は「ビジネス関係が大半」ということだが、低料金でも経営努力で黒字も可能―と昨年実績3億3000万円を自信として「ことしは3億5000万円を目標とする」とシーズンとあって全室フル回転の忙しさだが、長尾副支配人は「こうした時代ですから新しいものを企画してあれこれやるというのではなく、基本を正すという考えが必要」と日常の営業姿勢の大切さを強調する。(昭和52年11月25日号)



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