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人の行為を見つめ社会を豊かにするプロダクトデザイン会社(前編)

 プロダクトデザイナーという職種をご存知だろうか。お店で売られている商品、公共空間に置かれている設備機器などの、外観をデザインする人たちだ。彼らはどんな目線、どんな思考で仕事を進めているのだろう。境港出身でプロダクトデザイン会社代表の村田氏にお聞きする。(※掲載時の内容です)


株式会社ハーズ実験デザイン研究所 代表取締役 村田智明
聞き手:
北村真吾/中小企業診断士

取材:2018年2月5日 掲載:旬刊政経レポート2018年3月5日号)


御社の事業内容を教えてください。


 当社の創業は1986年。今年で32年目を迎えます。当初は商品やそのパッケージをデザインするプロダクトデザイン会社でした。そこから主業務であるプロダクトデザインを含め、現在ではその他2つの事業を展開しています。
 2つ目は、経営者向けに商品開発の考え方を伝えるコンサルティングサービスです。これは商品をデザインする前段階である、企画や開発に関わる業務ですね。
 3つ目は、開発に携わった商品を当社ブランドとして販売する事業です。商品をデザインして終わりではなく、その後の販路開拓のサポートもしています。
 川上の商品企画、開発から、主業務であるプロダクトデザイン、川下の販路開拓まで一貫して手がけていることが当社の特徴です。事業は多岐に渡りますが根底には「行為のデザイン」の考え方があります。


行為のデザインとは何でしょうか。


 デザインの役目とは、色や形など表面的な見栄えを整えるだけではないと僕は考えます。心地よく使えるか。安全性はどうか。そもそもユーザーは普段何に困っているのか。当社は、商品を使う「行為」を通じて課題を解決するという観点からデザインしています。
 例えばこの徳利を見てください。形状だけではなく重さも考慮してデザインしました。片手で注ごうとすると不安定に感じるので、注ぐ人は無意識に両手を徳利に添えてしまうのです。その行為は見た目に美しく、注がれる相手にはもてなしの心が伝わるでしょう。
 このように「行為のデザイン」という視点は日々の生活や仕事をより良くしていくものなのです。

村田智明2

主業務であるプロダクトデザインはどのように受注していますか。


 最も多い受注は、やはり商品の企画とデザインですね。奇抜ではなく、使い捨てでもなく、愛着を持って長く使ってもらえるデザインを心がけています。
 あとは出版物がきっかけとなった問い合わせも多いです。アマゾンの商品開発部門でベストセラーになった「問題解決に効く行為のデザイン思考法」は、多くの講演や展示会で作品を出展するきっかけになりました。
 あえて営業をせず、間接的に当社のデザインや考え方に注目する人を増やすことが受注獲得において重要です。


受注段階において競合コンペもよくありますよね。


 そうですね。ただ、競合コンペでは打ち合わせ段階で勝負がつくと、僕は考えます。
 多くのデザイン会社はクライアントの要求仕様のままにデザインする、いわば「守り」の姿勢です。競合と違い、当社は「攻め」の姿勢でコンペに当たっています。安全性、リスク、使い勝手、業務改善などを一緒に考えるので、クライアントの企画自体を軌道修正することもあるのです。だからこそクライアントは安心して当社に依頼できるのだと思います。


後編では御社の成り立ちと、鳥取県への期待をお聞きします。

(後編に続く)


【企業情報】
株式会社ハーズ実験デザイン研究所

代表取締役 村田智明
事業内容:プロダクトデザイン、デザインコンサルティング
所在地:大阪府豊中市向丘1−5−22
従業員数: 10人
資本金:3,000万円
【メタフィスHP】



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