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模倣すべきは”意識”と”意図”

ハンドリングは、多くの理学療法士・作業療法士が高めたいスキルの上位になると思います。しかし、どう学べばいいのかわからないのが現状なのではないでしょうか。

研修会やセミナーを受講して、話を聞いている時にはなんとなくわかった感じがあるが、いざ自分の臨床に戻ってくるとよくわからなくなり、結局新しく勉強したことを横に置いておいてしまう。こんなことがよく起こっていると思います。

パッケージ化されたテクニックや評価方法、学術的な知見などはわかりやすいのですが、ハンドリングという分野は特にこのような道を辿りやすいです。

なので、今回がぼく自身がハンドリングスキルを高めるにあたりどのような経過を辿ってきたかをアウトプットしていきます。


♦︎まずは”形”を模倣する

全く新しいことを学ぶ場合は、一般的にも言われていることですが模倣が重要になります。自分が目標とした人や自分が学びたいスキルを持っている人を見つけたら、それを模倣しましょう。

第一段階としては、形を真似るところから始めます。

形を真似るためにはしっかり観察することが重要です。形を観察する上でのポイントで重要なのか、以下のポイントだと考えています。

模倣対象者が👇
・どこに位置しているのか(立っている or 座っている場所)
・どんな姿勢なのか
・どの部位(治療者側の手のどの部位)で触っているのか
・どこに手を置いているのか などなど

このような視点で観察していくと、ある程度の再現性を持って模倣できるでしょう。まずは、形を真似してみるところから始ます。

形ややり方などをインプットして、それをアウトプット(実際に模倣)を継続していくと、いろいろわかることが出てきます。多くの場合は「あってるのかな?」「うまくできているのかな?」でしょう。

♦︎次に”意識と意図”を模倣する

このくらいのフェーズになったら次の段階に入ります。また、模倣なのですが、形ではなく、”意識と意図”を模倣することです。形を真似しただけでは、突破できない壁があります。

それが、本当の意味でそのハンドリングの理解ができないということです。本当の意味で理解ができないにどんなデメリットがあるかというと、そこからの発展がないということです。

発展的ではないということは、別のシチュエーションや患者さん、別の愁訴になった時に手も足も出ないことになります。ある程度熟達していたとしても、100%を患者さんを全て一回で是正できるわけではないと思います。

ただ、自分がやったことに効果がないなら、その次の手段、その次の手段、パターンを変えてもう一回など、治療介入を手札をたくさん持っていればよりフィットするものが見つけられますよね。

そのためには、意識と意図を模倣することで、そのスキルを徐々に自分自身のものに昇華させることができます。そうなると、次の昨日より今日、今日より明日というように少しずつ自分のアップデートすることが可能です。

ということで、自分が考える意識と意図の模倣を具体的にみていきます。

意識を模倣するとは?

意識というのは、思考や感覚など理学療法士サイドの内面的になものです。目標とする療法士が実際に評価や治療をするときにどのような考え方や感覚を持って実践しているかを模倣して行きます。

他人の内面自体は客観的にみたり数値化したりすることが難しいです。だからこそ、まずは実際に質問していることが必要です。そして質問する時に重要なのは、デモを観察して自らが感じたことや”形の模倣”で感じたことをもとに質問することです。そうすることで、的を得ていても、的を得ていなくても有益は返答が返ってきます。

もう一つは、実際にデモの被験者になりその時感じたことをもとに質問することです。これは自分の身体で感じることができる貴重な体験になるので、この機会を逃す手はありません。実際に自分の身体で感じたことをもとに質問すると、セミナーの講師の先生も詳しく答えてくれるます。

質問と同様に重要なのは、自らの固有感覚を用いることです。固有感覚はセンサーです。「なんかしっくりこない」「やりにくい」「こっちだと筋緊張が入るけど、こうやると緊張が抜ける」などというように自分自身の身体を用いて感じて行きます。

最初はありのままに感じてください。それが”なぜそうなるのか”、”なぜそう感じたのか”を言語化していきます。そして、意識的にちょっとずつやり方を変えながら、また自分自身のセンサーで感じ、それを言語化します。

この、感じる→言語化→修正→言語化というサイクルを何度も繰り返していくことでだんだんと理解の幅が広がります。

意図を模倣するとは?

意識と意図は別々ではなく、オーバーラップするものです。意図は明確な目的を持って「こうやったらどうなる?」と考えながら試行することです。

持つ場所を変えてみる、持ち方を変えてみる、動かし方を変えてみるなど、目的を持って変化を持たせることで得られる反応の変化を感じます。この変化を、感じて言語化して修正して言語化するというサイクルの中に落とし込んでいくと見えることがまた増えて行きます。

著名なセラピストは、普段からこのようなサイクルを回していると思っています。無意識でやっている場合もあるでしょう。

最初は大変なのですが、少しずつやっているとだんだん無意識でできるようになってきます。無意識のレベルでできるようになるとかなり熟達してきた証拠でしょう。

♦︎大事なことはだいたい面倒くさい

宮崎駿さんの名言に、こんなものがあります。

大事なことはだいたい面倒くさい

ハンドリングのスキルを上げていくことは、地道が努力が必要です。この努力は時にしんどい時もあるでしょう。スキルを高めている途中段階では、これが本当に適切なのか、自分が感じているこの感覚に問題はないのか、正解がないため自問自答、時には疑心暗鬼になります。

この手探り感は、人によっては面倒に感じることもあるでしょう。しかし、宮崎駿さんのいうように大事なことはだいたい面倒くさいのです。

この面倒なことを乗り越えた先に、一歩も二歩も突き抜けた療法士になることができます。


今回は、これまで。
最後まで読んで頂きありがとうござます。

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