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石破氏の総裁選勝利に関する感想

2024年9月27日、自民党総裁選は石破氏が勝利した。
決選投票で1回目1位の高市氏を逆転しての勝利であったので、つまり決選投票に進めなかった残り7人に投票した票が石破氏に多く集まったということである。

無難な結果
ある意味、無難な結果なのかなと思う。高市氏の政策案は大盤振る舞いで財源が疑問であったし、チベット問題のような、中国が内政干渉だと猛反発しそうなものもあった。自民党に色が付きすぎてしまう感があり、自分の立ち位置と合わない議員も多かったであろう。

旧来の権力者の脱落
また、麻生氏は自分の派閥であった河野氏を直前で裏切って高市氏支持を打った。にも拘わらず石破氏が勝利したことで、麻生氏の権威は地に落ちた。石破氏は総裁選後勝利後の記者会見で、麻生派がまだ残っているにも関わらず「派閥は無くなっちゃいましたんで」と発言した。
小泉氏を早々に支持した菅氏にとってもダメージは大きい。
一足早く脱落した二階氏含めて旧来の権力者が突然ステージから降ろされた感がある。

派閥の解消は岸田氏の大きな功績であった。正直いって小泉純一郎氏以上に自民党をぶっ壊した。そのおかげで総裁選が大いに注目を浴びることになった。自分が辞めることで政治が活気づくのはなんとも皮肉であるが。
しかし、その源流はやはり安倍氏暗殺なのであって、あの事件は日本の政治を変えたのだと思う。

政策は強味・弱みはっきりか
石破氏に話を戻すと、記者会見でも指摘されていたが、経済政策が弱点だと思われる。この点は総裁選の最中にも書いた。

また「高齢者、障がい者、外国人が働きやすい」政治を謳っており、所得税収その他の財源を確保する方針が見て取れるが、高齢者を働かせるために年金の減額や支給開始年齢の変更などの政策がとられる恐れも無いわけではない。それは金融所得課税などの発言から危惧されるところである。
記者会見では「年金や介護に不安を抱かない」政治を目指していることを発言していたが、実際どう推移するか。

また、当選した直後にやや円が買われるなどしたが、記者会見では「海外に流出した生産拠点の国内回帰」も謳っており、必ずしも円高志向というわけでもなさそうである。

全体として、経済政策はなんとなく政策同士が矛盾をはらんでいそうな予感がする。

一方で、国防・外交関係は日米地位協定の改定や、アメリカに自衛隊の訓練基地を設けるなど、強味を感じる。

「あきらめない」ことの大事さを再認識
ともあれ、まずは石破氏の今後のかじ取りを見ていきたい。
今回は5回目の挑戦だったということで、やはり何事も「あきらめないこと」が大事なのだなと感じた。石破氏が今回特別頑張ったわけでもない(失礼)のだが、急に風が吹いたのである。
いつ風が自分を押してくれるかわからないので、いま不遇だとしても決して腐ってはいけないという良い教訓ができたと思う。

一方、総裁選の結果を見て残念がっているのはNISAで日本株を買っていた層であろう。昨今の円安は日本株にとってだいぶ追い風になっていたし、金利の引き上げにもNISA日本株購入層は猛反発していた。彼らは高市氏を熱烈支持していたし、高市氏もそういう層を意識して発言していたと思う。
とはいえ、先ほども書いたが、必ずしも石破氏は強烈に円高、金利上昇志向というわけでもなさそう(はっきりした方針を持っていない)なので、まずは様子を見ておくのがいいのではないだろうか。
そもそも投資は一時の為替や金利で一喜一憂するものではない。これまで風が吹きすぎていただけだ。そしていつかまた風が吹いてくるかもしれない。


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