選択的夫婦別姓を導入するなら通称使用は廃止するべき
与野党ともに選択的夫婦別姓を唱える議員が増えてきている。
どうも女性の社会的進出に伴って湧き上がってきたことになっているのだが、理屈としてはおかしい。
おかしいというのは、結婚して姓が変わるのは夫の側の場合もあるからだ。そこは夫婦間で取り決めれば良い話で、女性が変わるケースが多いとはいえ、別に強制されているわけでもない。そのくらいで揉めるようならその二人はそもそも結婚しない方が良い。
また、結婚すると基本的には戸籍を新たに作るわけで、基本的にはその戸籍で同じ姓を名乗るのが自然なように思える。
戸籍は双方の実家から離れるわけだから、別に夫(妻)の家に嫁(婿)入りするわけでもない。
結局のところ、別姓にこだわるのは離婚を想定していることが理由としては強いのではないかと思う。いまでも旧姓を通称として使用できる制度があるが、この制度は仕事などでキャリアを積んだ人が姓が変わることにより不都合を生じるのを避けるため、などという理由で導入された。しかし現実には通称使用している人のほとんどが特出すべきキャリアを持っていない。
つまり本当は、選択的夫婦別姓を推進するのに大した意義はないのではないだろうか。どうにも政治的に色を付けたくてやっているように見える。
一方で、家族の在り方や日本の伝統が崩れるとか、そういう反対理由もおかしい。
日本はほとんどの世帯が核家族化してしまい、一族(家)という意識がほぼ無くなってしまっている。しかも結婚すると親の戸籍から離れるわけで、戸籍制度自体が古来からの家族の在り方をすでに変えてしまっているのだ。
その法を定めた政治家が古来の家族の在り方をありがたがるのは筋違いなのではないだろうか。
また、苗字があまねく広まったのは明治以降で、それ以前は日本人の9割は苗字を持っていなかった。また、苗字を持つ家でも、女性は苗字を名乗っていなかったと思われる。織田信長の妻も「濃姫」「帰蝶殿」と呼ばれることはあっても「織田濃」とか「織田帰蝶」とは呼ばれない。
つまり世帯が一家で同じ苗字を名乗ることは新しい習慣なのであり、日本の伝統でもないし、ありがたがるほどものでもない。
私としては選択的夫婦別姓に条件付きで賛成である。その条件とは「通称使用の廃止」である。
前述したように実態として大義が希薄なこの制度のせいで、日本中の企業の事務処理が煩雑になっているのだ。
税金や給与などの人事に関することは本名、業務の一般文書では通称使用というのは業務上ややこしいし、その事実を知っている同僚も意外と少ないので、勘違いからくる業務ミスや効率低下のリスクがある。昨今は個人情報の保護が変な形で浸透し、同僚の結婚すら社内で通知されなくなっているのだ。
業務効率化が求められている時代でもあり、戸籍と呼び名は一致しているべきだ。その点において選択的夫婦別姓は本人希望と業務負担回避の両方を満たしているともいえる。
なお、子供の姓は基本的には戸籍筆頭者の姓を名乗るべきだろう。ここを自由に選択できてしまうと、兄弟で姓が異なる世帯が出て、それも学校(PTA
、子供会含む)や役場、保険業務の事務管理上かなり負担と思われるからだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?