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MMTを考える7―一応の結論:MMTは正しいと思うが、技術や時代がまだ追いついていないー

結局のところMMTは正しいのか、実現可能なのか、という議論に一応の結論をつけておきたい。

国家財政において税収が先にあるわけではなく、貨幣発行が先にある(税収がバックボーンではない)ことは冷静に考えればよくわかることである。また、税の役割が貨幣の流通を促すこと、その流通量を調整する機能であることも理解できるはずである。

ただ、この事実は国家財政にしか通用せず、家計や企業、地方自治体の財政には通用しないということが人々の理解を阻害していると思われる。
国家財政とそれ以外をしっかり区別して理解することが必要なことである。

本来であれば国家としても国民が正しい理解をしていることは望ましいはずなのであるが、財務省や国税庁はむしろ、国家財政と家計を結び付けて説明し、税収を増やす理由を刷り込んでいる。実際に多くの学校でこのようなミスリードの授業を行っているようだ。

https://www.nta.go.jp/about/organization/sendai/education/jirei_yamagata/pdf/h24/004.pdf

国税庁サイトに掲載の授業報告

このような状況ではMMTの理論が広まることは困難と言わざるを得ない。
また「MMTを考える6」でも述べた歴史的経緯からしても現時点ではなかなかにハードルが高いと言えるだろう。

また実際の運用面でも、税の本来の役割を果たすものとしてどの税を残すのか、税率をどのようにリアルタイムで変動させ徴収するのか、が非常に難しい。たとえば消費税を物価に合わせて変動させるとなると、個人商店含めて短期間に変動する税率に合わせていく必要がある。そのためにはたとえば電子マネーの完全普及を実現し、税率の管理はシステム上で行われて商店主はそれを気にしなくてもよくなるとか、そのような環境整備を行う必要がある。
それは実現不可能ではないだろうが、それをやりきる政治家がいま居るか、となると全く居ないのが実情である。

つまりMMT理論を導入した財政政策は、現状では実現可能性が無い。

しかし本来は正しいことが行われるべきだし、特に税に関することは正しくあろうとすべきだ。また、MMTを実現しようとするエネルギーは、必ず多方面にイノベーションを起こすきっかけになるだろう。よってMMT理論の議論を続けていくことは大変有意義だと思う。



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