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外でイヤフォンを外せないのは一人きりだと思いたいから

半径を変えずに何かから遠ざかろうとすると、他の何かに近づいている。

満員電車で肩がぶつかる、ごめんなさいねって左に避けたら、今度は左の人にぶつかる。ごめんなさいねってまた謝って、肩をすぼめて縮こまる。

雨の交差点で傘を差して人とすれ違う。傘同士が当たって水滴が肩にかかる。もうどっちから人が来るかもよく分からないし、誰のどの水滴で自分が濡れてるのかもわからなくなって、それでも傘は閉じられなくて、気にせず歩く。

人間は粘土でも液体でもないし、ゴムゴムの実だって食べてないから、自分の形を変えて生きていくのは難しい。満員電車で肩をすぼめても、雨の交差点で他人を無視して進んでも、1人にはなれない。

たとえ無自覚でも、何かに寄りかかっている、誰かに寄りかかられている。また迷惑かけてごめんね、支えてもらってありがとうね。頼ってくれてありがとうね。何もしてあげられなくてごめんね。

お礼を言って謝って、電車を降りた後、交差点を渡り切った後の細い路地、一瞬だけ1人みたいな瞬間がある。
イヤフォンを外す。




YOJHO

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