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靖国の桜と祖父の涙

今日は終戦記念日。
先日平和の祭典オリンピックが終わりました。
デルタ株が蔓延しコロナ感染者数の記録を更新する毎日。
全国的に大雨が降り、全国各所では避難指示、緊急警報が出ている中、不安な気持ちを抱えながら大切な人の安全を想うこのお盆。

ご先祖様はどんな気持ちで私たちを見守っていることでしょうか。

終戦記念日になると毎年思い出すことがあります。
それは9年前に亡くなった祖父の涙です。

祖父

私の祖父は強く、厳しい人でした。
戦争を生き抜き、0から商売を始め、一代で会社を築きました。

そんな強い祖父が1度だけ「涙」を見せたのは、
幼い私を連れて靖国神社の桜を見にきた時の事です。

尊厳な靖国神社を背景に桜が満開に咲き誇り、日本の美と強さを映えさせる中、祖父は弱さを露わにしました。

「出征する前に友人たちとここで約束したんだ。
また、ここで会おうと…。
僕以外、皆死んじゃった。
いいやつは皆。死んじゃった…。」

幼い自分には衝撃的でした。
友達が死ぬなんて、考えたこともない。
自分だけ残されるなんて。

さらに、衝撃を受けたのはその言葉の真意を知った数年後でした。

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靖国神社は戊辰戦争後の1869年に明治天皇の勅令によってに建てられた招魂社に起源を発し、国家のために殉難した人の霊を祀っています。

今でこそ、太平洋戦争で亡くなった軍事関係者を祀っているイメージが強くなっていますがもともとは日本の平和のために命を捧げた人に敬意を表す趣旨がありました。

祖父とその友人たちがそこで会おうと約束したのは、英霊となって再びそこに集おうという意味だったのです。

つまり、故郷(おくに)のために死ぬつもりだったのです。
自分だけ生き残ってしまったのです。
※祖父が死ぬつもりだったことは、その後見た祖父の手記にも明らかにされております。

祖父はそのことを負い目にひたすら働き、店を切り盛りし、家族と従業員を養い、日本を立て直そうとしてきました。

祖父と父

戦争で死ぬことがその当時の常識だったのです。
逃げ出すもの、生き残るものは卑怯者、戦犯だったのです。

平和を願うこと、祈ることは大事です。
しかし、平和って一体何なんでしょうか?

前に何かの本で「平和」の反対は「戦争」ではなく「混乱」「無秩序」だという言葉をみたことがあります。

今、日本は平和ですか?
戦後70年以上も黙とうを捧げてきて、平和を願ってきましたが平和ですか?

正直で誠実に生きている人が安心して生きられなければ「混乱」「無秩序」状態といえるのではないでしょうか。

誰が悪い、何が悪いという議論は何も生み出しません。
戦争に突き進んだ、その時の空気は今の時代のものにはわかりません。
しかし、歴史の証言書は今の日本をその時の空気と似ていると感じているようです。

今こそ本当の「平和」とは何か考えるべき時なのかもしれません。
毎年終戦記念日に思い出す「靖国の桜と祖父の涙」。
本当の平和への祈りと大切な人への想いを込めて。
         2021年8月15日終戦記念日

子供たちの黙祷




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