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作品

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主に短歌人に発表した作品をまとめています。
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#tanka

短歌人2019年1月号

短歌人2019年1月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。
今年最初の月詠です。

ハロウィーン明けたらやたら光りだすそれぞれの駅のイルミネーション
外苑に等間隔にならびたる銀杏幾本かは黄を帯びて
青山に霊園ありてたまさかなれど高祖父の墓参りたり
みんな飲んでるビールをぐっとがまんして日曜特訓の子を出待ちする
サドルの低い子の自転車に子を載せて坂道のぼり一気にくだる
勝どき橋をわたる都バスの右窓に東京タワーが見え隠れする

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ステージのベル

ステージのベル

パイプ椅子をたたむ早さを競いおり管弦楽団員なるわれら

ばらばらに分解されし打楽器をパズルのようにトラックに積む

合宿に宴会つづく夜更けあり朝のバイオリンわずかにふたり

ゲネ・プロはドイツ語 ソワレはフランス語 舞台の幅は尺にてはかる

ベルが鳴る ステージ袖の緊張を呼吸ひとつで集中にする

オーボエの「ラ」を受け取ったコンマスが無言で示す戦闘準備

主和音がホールを満たす堂々と 前奏曲で始

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短歌人2018年12月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。
今月の月詠です。

すっぱりと斜め四十五度に切られた月をしばし見ている
台風一過の運河のみずは鈍くひかり水羊羹のようにゆれおり
夕空にまだらに浮かぶうろこ雲 こわいと言われればこわい気がする
自習室が閉まる十時はサイゼリヤにたびびと算をならんで解きぬ
先生の名前がふたつ並んでる国語便覧「あきのくさはな」

いよいよ年末が近づいてきました。このところ思うように作

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短歌人2018年11月号

短歌人2018年11月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。
今月の月詠です。

モニターの石原さとみで涼をとる乗車率200%の朝
鈍行を乗りついでゆく乗るごとに車両みじかく町はのどかに
雨雲レーダー真紅に染まるセルにいて折りたたみ傘はただの棒なり
マヨネーズ多めで頼む平和園の冷やし中華で夏がはじまる
中華鍋を軽々と振る背筋をビール片手にながめていたり
小学生ですら暗記してくるスピーチを読むしかできない人でいいのか

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短歌人2018年10月号

短歌人2018年10月号



明け方にあるいた川沿いの道をもう一度あるく夕まぐれ

この夏はなぜかやたらとぼんやりしていて、全国集会に出した一首を送るのが精いっぱいでした。どこの川なのかは分かる人には分かるかもしれません。

鳴りやまぬ電話のベルを聞いていつ 誰も映らぬモニターの中に

Selectionでも一首引いていただきました。ありがとうございます。

感想など聞かせていただけるとうれしいです。

短歌人2018年9月号

短歌人2018年9月号



冷麺を食みつつ歌集の話せり盛岡に暮らす高校生と
不来方のお城へ向かう朝まだき吸われし空は雲に隠れて
サンビルに四人が集う 文フリは同い年に逢うための旅
旅先に当たりの喫茶店あれば再び訪なうのが習いなり
山に囲まれ育つ人には山々が絶対的な安心とわかる
朝に夕に川沿いを歩む このペースで暮らせる街は住みたくなる街

6月に文学フリマ岩手に行きました。今年に入ってから文フリの歌ばっかりですが、感想な

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短歌人2018年8月号



御殿山の坂をのぼりて現代美術コレクションに浸るひととき
洋館の階段ゆるく曲線を描く手すりの手ざわり滑らか
前後左右を白きタイルに囲まれてわれの思考は四角くなりぬ
鳴りやまぬ電話のベルを聞いていつ 誰も映らぬモニターの中に
砂で描かれた共和国旗と太極旗わずか崩れて混ざりつつあり
赤き服の案内嬢ら折り伏せるうごく歩道は闇へと続く

原美術館を訪れたときに作った吟行詠です。感想などお聞かせいただける

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短歌人2018年7月号



表紙のみ印刷に出す 文章は前々日まで書く前提で
紙を折りホチキスで綴じ紙を折る 繰り返すほどに精度はあがる
文フリに行きたいという子を連れて遠足の日のようにバスに乗る
カレーしか食べ物はなくふたり分のカレーを買って席につきたり
そろそろ飽きたという子を送る帰り道 間違えて大井競馬場に立つ
採算は取れたかと問う子がいれば安心して趣味に打ちこめるなり

5月号の作品に月評をいただきました。菊池

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短歌人2018年6月号

短歌人2018年6月号



一市民を意識したしと春雨の議事堂前にわれしばし立つ
自意識が邪魔をしておりコールには静かな怒りの念のみ送る
<ここからは出れません>とう看板のら抜きにあらわる出来合いの感じ
「水色のヘアアクセサリー」と娘から指示ある妻の誕生日前夜
六年生は背中を見せる役目だと入学式に子は背伸びせり
浅草におでんを食えば同い年は旧知の仲なり初対面なれど

感想などお聞かせいただけるとうれしいです。

短歌人2018年5月号

短歌人2018年5月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。
今月の月詠です。

髪を切りわすれた雨の日の前髪が湿度をまして視界をふさぐ
阪神の話題でやたら盛りあがっているうどん屋の隅に相席を得る
タンパクを取るべきだという友がいて釜肉うどんに玉子をつける
肉をよけつつうどんに黄身をからませるその質感を愛でたのち食む
二月中に出すといった雛人形を三月一日のロスタイムに出す
レイトショー見終えた夜の街並みはどこにもつなが

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短歌人2018年2月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。
2018年2月の月詠です。

音本番入(はい)りますの声にヒロインはヒールを脱いで告白を受く
医者・歯医者・医者・医者・ミーシャ 聞きおればいしゃばかりなるMISIAの家族
「主役1」と呼ばれる権利を勝ち取って吾子はひとりでステージに立つ
こんにちはって言ったらこんにちはって言ってね 言ったのに声が大きくて叱られる
舞台ではまったく緊張しなくとも相手がいると

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短歌人2018年1月号

こんにちは、短歌人の太田青磁です。
2018年1月の月例作品です。

ひと駅をあるく ひと駅たびをする ひと駅ぶんのわたしがわかる
点滅が近づいてきて点滅はロードバイクとともに去りゆく
チョークにて〈ここで夜景をお楽しみください〉狭きわが家のベランダなれど
子のつくるソラマメひとつ置かれあり噛めばたちまちハイチュウ満ちる
計算が苦手な吾子が計算を解きおえるまで黙る苦しみ
連日連夜尾崎豊を妻は聴く何

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