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私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界

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チャールズ・アイゼンシュタインの著書の翻訳を公開。社会や環境が危機に瀕している時に、個人として私たちは世界を良くするために何が出来るでしょうか?この本は、この危機の時代に、私たち…
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チャールズ・アイゼンシュタイン著 「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」ー紹介・目次

はじめに アメリカの著述家チャールズ・アイゼンシュタインの著書は、ギフト経済の理念とクリエイティブ・コモンズ・ライセンスに基づいて自由にシェア出来るように公開されています(出典を明らかにするのはリスペクトの意味でも推奨されるかと思います)。私は昨秋に友人を通じてチャールズ本人にも連絡を取って、彼の代表作の一つである「The More Beautiful World Our Hearts Know is Possible」の翻訳に取りかかり始めましたが、諸事情によりその翻訳プロ

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 運命 (第35章)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  心が私たちに語りかけるもっと美しい世界について私は伝えています。なぜなら、「分離の論理」に染まった私たちのマインドは、私たちにそれは不可能なことだとたびたび言ってくるからです。私たちがインタービーイングという新しい論理を受け入れはじめても、古い疑念はいつまでも残っています。それは、頭を使っての考えが、存在の全体的な状態の露出している一部にすぎないからです。この本では、その存在の状態のさまざまな様相、つまり、

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 意識 (第34章)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  物語のレベルでの働きかけは、もっと美しい世界を創造するための鍵であるだけではなく、霊的な修行と常に呼ばれてきたものと同一のものです。言うまでもなくそうなのです。なぜなら、私たちの「世界の物語」の根底には、他の人たちから、自然から、ガイアから、そして神と私たちが呼ぶかもしれないものから分離しているという思い違いを伴った「自己の物語」が存在しているからです。  私は『聖なる経済学』の中で、私たちが悟りという単

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 真実 (第33章)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  通常、私たちが「インタービーイングの物語」の中に立てているのは、単に意志によるものではありません。それは「分離」による数々の傷を癒し、その習性を変化させ、再会という思いがけない領域を発見していく長いプロセスなのです。あるときは突然、あるときは少しずつ、あるときは努力によって、あるときは恩寵によって、あるときは誕生のように、あるときは死のように、あるときは痛みを伴い、あるときは栄光に満ちていて、それは深遠な変

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 奇跡 (第32章)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  物語のレベルで働きかけることには二つの側面があります。第一に、「あなたが現実だと思っていたことはただの幻想にすぎない」と述べ、古きものを崩壊させます。第二に、「実現可能なことや現実は、あなたが知っているよりもはるかに壮大なのです」と伝え、新たなものを差し出すのです。一つ目を私たちは危機や瓦解として経験します。二つ目を私たちは奇跡として体験します。物理学の法則にそむくような、外側の神性によるこの世の問題への計

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 中断 (第31章)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  私たちが知っている世界は、物語の上に成り立っています。チェンジエージェントになるということは、第一に既存の「世界の物語」を途絶えさせ、第二に新しい「世界の物語」を語ることであり、そうすることで物語と物語の間に入り込んでいく人たちは行き場を得るのです。大抵、この二つの機能は一つに混ざり合っています。新しい物語を語るために私たちがとる行動は、古い物語にとっては破壊的なものでもあるからです。  これが、私の働き

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 物語 (第30章)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  この物語は、トーマス・クリアリーが『活力、エネルギー、スピリット: 道教資料集』の中で翻訳した『列子』として知られる古代の道教の寓話集からのものです。クリアリーは次のように説明しています。「(この物語は)弁証法的な推論の限界を説明するもので、よってより包括的な意識の状態を間接的に示唆しています。孔子を揶揄したジョークとして描かれたこの寓話は、それ自身の仮定の範囲内では筋が通っていても、より広い文脈の中では無

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 悪 (第29章 後半)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  すべての寛大な行為は、寛大であることへの招きなのです。すべての勇気ある行動は、勇気を持つことへの招きなのです。すべての無私の行いは、無私であることへの招きなのです。すべての癒しの行為は、癒しとなることへの招きなのです。そのような行為を目の当たりにして、あなたもこの招きを感じたことがあるはずです。  ペルーで起きた列車事故についてのニュースを読んだことがあります。旅行者や観光客は冬の山岳地帯に取り残され、食

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 悪 (第29章 前半)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  時々、Q&Aセッションやインターネット上のコメントの中で、「人間のダークサイド」を私が無視しているとして非難されることがあります。その言葉を紐解いてみようと思います。人間のダークサイドとは何なのでしょうか?それは、「時々、人はかなりひどいことをする」以上の意味を持つのは確かです。もしそれが誰かのせいでもなく危害を加えるつもり意図もなかったとしたら、当然それはあまりダークではないからです。また、私の著作を読ん

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 サイコパシー (第28章)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  変化は時の権力者たちに打ち勝つことではなく、彼らの変容によってもたらされると論じました。私たちが、多くの目を通して世界を眺めている根本的には同じ存在なのだと述べました。私たちの悪の認識は、他の人のようになるのはどのような感じなのかを理解していないことに起因していることを説明しました。私たちが他者に対して行っていることは私たち自身に対しても行っていることであり、それは感じることができる何かであると主張しました

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 倫理的正義 (第27章)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  世界の問題は悪であり、その解決策はそれを制圧することであるという共通の合意の下には、満たされていない自己承認への心理的なニーズが存在しています。私たちの政治的な議論の3分の2は、正しくありたいという欲求と善と一致していたいというニーズを満たすことに向かっています。もし私に反対する人が、愚かで、ナイーブで、いかさまで、邪悪であるから反対するのだとしたら、私は賢くて、利口で、独立心があり、善良でなければなりませ

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 憎しみ (第26章)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  敵を人間として扱うことは、まだ「憎しみの物語」の中で生きている仲間たちにとってはチャレンジなのかもしれません。彼らは新しい見方を軟弱さや裏切りとして解釈しているのかもしれません。「よくもまあ、あの人たちを許せたものだよね?」  平和に専心している退役軍人の友人は、彼の友人が他でもないディック・チェイニーの専属シェフを勤める機会があったという話をしてくれました。何百万人ものリベラルが、酷い人間で、無情で、不

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 ジャッジメント (第25章)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  欠乏と苦闘の構造がいかに蔓延し、深く根づいているかを考えれば、私たちが自らの心理にその痕跡を持っているのも不思議ではありません。どのように私たちは自分自身を解放するのでしょう?それらの支配力はあまりにも強大で、私たちがどのようにトライしても、さらにそれらの支配力だけを強化してしまうリスクがあるのです。例えば、私が「どのように私たちは自分自身を解放するのでしょう?」と尋ねたとき、そうするためには何か大変な努力

「私たちの心が実現できると知っているもっと美しい世界」 快楽 (第24章)

本の内容紹介、著者チャールズ・アイゼンシュタインについてと目次。  それでは、アテンションが個人あるいは社会のレベルで痛みに働きかけるツールなのであれば、私たちはどのように快楽に働きかければいいのでしょうか?快楽とは、特に私たちがニーズを満たすことによって得られる気持ちだということを思い出してください。ニーズが強力であればあるほど、快楽はより大きくなります。この原則に従うには、まず私たちのニーズが妥当なものであり、美しくさえもあると受け入れることが大切です。そして、ニーズだ