トンテキ
”食文化”といっても、広くは国ごとや地域ごと、また、狭いところではシーンや誰と食べるかといった構成単位によって切口はかなりの数にのぼる。
なので、たとえば「料理が趣味です」とか「料理をまなんでみたい」、という発言があった時の「料理」というのは、それだけではどんなものか分らない。家でレストランのような本格的な料理がつくりたいのか、それともいわゆる”おふくろの味”的な家庭料理がつくりたいのかで、初手からみえる風景はまったくことなってくるだろう。
”ズボラ飯”とか”時短レシピ”に代表されるメニューが人気になっているが、それでも調理に関係する本やサイトは、ある程度時間をかけて、素材の味を引だしたり、掛あわせた調理法をおしえてくれる。
それは、もちろんけっして悪い事ではないし、むしろ「料理が趣味です」とかんじたり、これからそうなりたいとおもっている人にとっては楽しい時間だとはおもう。だが、「家族」という組織にいるすべての人が、調理にかかる時間を楽しいとかんじるわけではないし、また、そうなるべきものでもない。誰にでも”向き不向き”というものがあるし、”家事”の中には調理以外にいくらでもやるべき事が他にもあるからである。
はっきりいえば、毎日スーパーに足をはこんで、その日新鮮な肉や魚をかったら、塩をふって焼いてくえばそれでいいのである。今日は鯵、昨日は鶏、明日は豚・・・それぞれ塩をふって焼いてたべる。ご飯を炊き、あとは葱にかぎらず家にある野菜をきざんで味噌汁をつくる。その繰返しで十分なのである。
もちろん、今日は焼いた魚にポン酢をかけてたべたいなという日もあるだろうし、焼いた肉に手作りのソースをあわせたトンテキがくいたいという日もあるだろう。そうおもった時に「トンテキのソースってどうやってつくるんだっけ?」とか「ポン酢って自分でつくれるもの?」と、疑問におもう(ことがあれば)ところを、無理なくストレッチしていく事で、少しづつレパートリーをふやしていくといいとおもう。
くどいけど、もし疑問におもわないのなら、ひきつづき素材に塩をふって焼いてくっておけばそれで十分だと僕はおもう。
【レシピ】
材料
豚ロース肉 肉屋でカットしてもらう。肉もうまいが脂もうまい。
生野菜 付け合せに、食べたいものを食べたいだけ。
ウスターソース
トマトケチャップ
赤ワイン それぞれ同量(1:1:1)
1.豚ロースは、全体に軽く塩と、それから胡椒をふる。脂身の部分に、数カ所切込みをいれておくと、炙ったスルメみたいに焼いた時そりかえったりしなくなる。
2.生野菜は食べやすいサイズにカットしたり千切したりしておき。めんどくさい人はレタスを手でちぎるだけとか。
3.強めの中火にねっしたフライパンで豚肉をやき、こんがりと焼色がついたらうらがえして、今度や弱火で中までゆっくりと火をいれる。
4.肉をやいたフライパンの汁はすて、同量にあわせたウスターソース、トマトケチャップ、赤ワインをいれたら、フライパンにのこった”おこげ”を溶かす要領でソースをまぜながら、少し煮詰める。
5.皿に野菜と肉をもり、肉にソースをかけたら完成。
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