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そいつらは おはぎ食ってねーだろ?Vol.29

オープン当初、房の駅の商品数は
約250品。(ちなみに現在は3000品)


お客様からあれはないかこれはないかと
日々聞かれてきた。
もしそれを全て実現していくと
スーパーマーケットになる。
でも目指しているものは
スーパーマーケットではないから
全ての声を叶えることはできない。


どんな商品を品揃えしたら良いか
迷走が続いた。
そして完全に方向性を間違えた。


「宮本武蔵コーナー」


なぜ?
なぜだ?
なぜなんだ?
なぜ!房の駅で宮本武蔵なんだ!


自分が宮本武蔵が好きだという理由だけで
宮本武蔵関連のコーナーができた。
・二刀流かまぼこ
・五輪書ロールケーキ
・巌流島どら焼き
などそうそうたる商品ラインナップだ。



そしてお客様に支持されない宮本武蔵たちは
房の駅で大量に売れ残り、廃棄となった。



くだらないかもしれないけど
このことがきっかけで
自分が好きなものと
お客様が求めるものはちがうと知った。



危なかった。危機一髪だ。
もしこれが成功していたら
次は間違いなく坂本龍馬コーナーが
増設されていた。



その次は高杉晋作コーナー。



こんなやらなくてもわかるようなことも
相談できる相手がいなかったからこそ
自分自身で考えて悩むことができた。



そしてある日、
房の駅で売っているおはぎを
お客様に試食してもらっていると
「甘すぎるよー!もっと甘さ控えめにしなさい!」と言われた。1日で5人以上のお客様に言われた。

お客様の声を信じて
甘さひかえめの指示をつくり手に出した。
ところが1ヶ月後、
おはぎは大きく売上を落とした。



すると普段、優しい梨の生産者のぶんじさんが
血相を変えて自分のところにきた。
ぶんじ「おめぇーおはぎが甘くねーぞ!」
せいじ「甘さおさえました!」
ぶんじ「アホか!おはぎは甘くなきゃダメだ!」
せいじ「でも他の人が言ってました!」
ぶんじ「そいつらは普段おはぎ食ってねーだろ!」
せいじ「・・・・。」
ぶんじ「ちゃんと客をみろ!」
せいじ「・・・・。」
ぶんじ「ひと仕事おわった後の楽しみを奪いやがって!」



がーん😨
すごくショックだった。
買ってくれてる人を完全に無視していた。



そこからお客様を良くみるようになった。
お客様を「ひとくくり」に見ることはなくなった。
ここから1人1人みることになっていく。



今、来てくれているお客様に
もっと楽しんでもらいたい。
この人にまた笑ってもらいたい。



お客様の声を叶えることはできないかもしれないけど受けた質問の答えをPOPやポスターで表現するようにした。売り方、試食、マイク放送、プライスカード、ポスターすべてがお客様からの質問に答えるものになった。
いくら?
どれぐらい日持ちするの?
美味しいの?
辛い?
お土産として恥ずかしくない?
どれぐらい入ってるの?
人気?甘い?
どこ産?
質問は無限にあったけど
根気良くプライスカードに落とし込んだ。



お客様が売場から取った商品を
カゴから売場に戻したときは
商品開発のヒントになった。


つくった売場の前をお客様が見もせず通り過ぎたときは売場づくりがダメなんだと凹んだ。


逆にいうと普段、房の駅で買い物をしない人の
意見はバッサリ切るようになった。


全てはお客様が答え合わせをしてくれると
知ったときから行動が変わった。


お客様第1主義を掲げるのは簡単だ。
でも自分にはピンっとこなかった。
お客様の立場に立つなんて
職業病で2度とできないけど
「お客様を大切にする」ことはできる。



その気持ちが正しい経営を生み出す。と
信じるようになったのは
宮本武蔵とおはぎのおかげだ。



『諏訪聖二、黒字独学』
第8条 宮本武蔵まつりをやるなら熊本県
第9条 お客様を1つにくくらず1人1人みる。

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教科書にない赤字店舗を黒字化する10か条
『諏訪聖二、黒字独学』Vol.21-Vol.30(全10話)

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