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親孝行なんてしない。Vol.59

第9話

父の昔話がすごく好きだ。
伝説的な武勇伝。
でもまわりの仲間がそれを語るのを聞いて
あーーーー武勇伝じゃなくて
しかももっとヤバい話だし!みたいな。


・うちの母親を売り子で働かせて
義理の父親にこんなことをさせるために
嫁にやったわけじゃねーと言われ
連れて帰られそうになった話とかも
何度聞いても面白い。
昭和ってヤバい‼️


・バケツわかめという商品が売れたから
バケツいわしやったら不漁で予約したお客様の
家を1軒ずつまわるハメになったこととか。


・アサリにカビがはえて
洗濯機で洗って膨らんだアサリをみて
焼き蛤焼あさりを思いついたことととか。
なんで洗濯機で洗ったんだ?!笑


こんな話がいっぱいあって
これが何度聞いても面白い。


そんな諏訪商店の卸部門において
もっとも大きかった卸先さまは
海ほたる。
=諏訪商店史上もっとも大きな卸先さまだ。
その卸先さまの大改装のとき
大店長から自分に改装をしたい相談が舞い込んだ。


海ほたる開店時の
担当営業マンは
グループ内の現株式会社ナカダイの社長ほしのん。
相談を受けたときは
現やます営業部卸部門のリーダーうっしー。
みんなが必死に繋いだ襷が
信頼というカタチになった瞬間だとおもった。


一生懸命、手伝わせてもらった。
このとき、自分は通常の
専務という仕事に
営業部長の立場
事業部長の立場
商品開発
採用
加曽利房の駅の新店舗準備と
はじめてのパン工房出店準備
はじめてのカフェ出店準備
はじめての魚の食堂出店準備
数々の仕事と修行を抱えていた。
でも手は抜かなかったし
それよりもその信頼にこたえたいと
猛勉強をした。
1番のお得意先さまから
頼ってもらえたことが本当に嬉しかった。


父にその話をしに行くと
「すごいな」と一言。
「そうか」ではなかった。
褒められたことよりも
「すごいな」って言葉がすごく染み込んだ。


そしてその数年後、コロナがやってきた。
そのお得意先さまの
襷は房の駅にまわってきた。
実質の事業承継

支えきれなかった悔しさと
襷をうちにまわしてくれた大店長の優しさ
いろいろな想いが交錯する
諏訪商店らしいお店だ。


ベイブランド房の駅が海ほたるに
出現することになった。


父に海ほたるのお得意先のお店が
房の駅になることになったんだよと
報告すると
「なんで?」って。


説明するのめんどくさいな。
また父の理解を超えていった。


『諏訪聖二、どうする父さん』Vol.51-Vol.60(全10話)


父のことは尊敬もしないし
すごいとも認めない。
親孝行する気もない。
ただ今までと同様、これからも
その武勇伝をおもしろおかしく
愛を持って語り継いでいくよ。


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