司法試験の勉強方法 その8

前回までのあらすじ

前回は、予備校の使い方のうち、「論パの記憶」について書きました。
今回は「論パの崩し」について書こうと思います。


論パの崩し

「論パは馬鹿みたいに記憶して貼り付けろ」といいました。
馬鹿になった後は、論パを崩せるようになる必要があります。

どうして論パを崩すのか

これには二つの理由があります。
まず一つは、文字数が減らせるからです。

司法試験には時間制限があります。
不要な記述をする余裕はありません。
また、その筋力もありません。

ただ、近い将来、手書きする必要はなくなります。
そのため、現在の受験生にとって、この理由は余り重要ではないかも知れません。

もう一つは、記述の焦点がボケるからです。
良くできた論パには、基本的な事項が余すところなく記述されています。
そのため「今回の問題に限っては焦点とならない」記述、つまり「今回の問題の解答との関係では余事」となる記述が含まれています。

余事記載を限りなく削ることで、不要な記述を削るだけでなく、自分が今回の問題の本質を正確に捉えているのだということを、採点者にアピールすることができます

このような理由から、論パの崩しは、必要な場合に必要な限度であれば、積極的に行うべきです。


*「覚えた論パを貼り付けただけ」と批判されるケースは、主に「今回の問題の解答との関係では余事」となる事項を断りなく記述している場合です。

論パ崩しのリスク

とはいえ、論パの崩しにはリスクがあります。
適切に行えていない場合には大幅減点を喰らってしまう、ということです。
しかも、不適切な崩し方のせいで減点をされた場合に、その自覚がないと、殊更に酷いことになります。

なにしろ、自分では十分論述できていると思っているわけです。
そのため、どうして点数が付かないのか理解できず混乱します。
傲慢な受験生にもなると「きっとこの採点者が蒙昧なんだ」「本番だったらちゃんと点数がつくはずだ」という意味の分からない妄想に取り憑かれます
こうなると、立ち直りに相当時間がかかります。

このような事態を避けるため、基本的に論パは「馬鹿みたいに貼り付け」た方が良いのです。

論パ崩しのための予備校活用法

このようなリスクはあるわけですが、しかしやはり、崩すべき時は崩した方が良いのは間違いありません
「馬鹿みたいに貼り付ける」ということは、採点者に「こいつ馬鹿みたいだなー」と思われるということですから。

そこで、予備校を使って、論パを崩す練習をすることをお勧めします。
具体的な活用方法は、司法試験過去問の優秀再現答案の読み込み予備校答練における優秀参考答案の利用と、答練提出における採点者のコメントの要求です。

このうち、司法試験過去問の優秀再現答案の読み込みについてだけは、紙幅の関係から次回に書こうと思います。

予備校答練における優秀参考答案の利用

予備校答練における優秀参考答案は、初見の問題を優秀な人が制限時間内に書き上げたものです。

初見の問題とはいえ、予備校の問題はその性質上過去問等の焼き直しになります。
そのため、出現するのは、既知の論パとなります。
つまり、優秀参考答案を読むことで、自分が知っている論パを、優秀な人がどのように崩しているのか、どの程度崩しているのかを、直接確認することができるというわけです。

優秀と判断された答案ですから、自分でも同じように論述できるなら、当然のように優秀と判断されます。
ですから、優秀参考答案の論証をそのまま記憶してコピーするというのが、効率的な論パの崩し方といえます

また、もし仮に、優秀答案が論パを崩さずに貼り付けていた場合、その論パは崩せない、若しくはその問題では崩すべきではない、という可能性が高いです。
そのような場合には、なぜ崩せないのか、もしくはこの問題では崩すべきではなかったのか、ということを考えることができます。

このように、優秀参考答案の読み込みは、論パ崩しを考える場合に、非常に参考になります。

答練提出における採点者のコメントの要求

答練提出の際に、何もコメントをつけずただ書いた答案を提出する人がいます。
制限時間内に書き上げて提出する形式であれば、それも仕方ないでしょう。
遊ぶ時間が足りない無い場合も同様です。
しかし、自宅で起案するなど、起案から答案提出までに時間の猶予がある場合、ただ提出するだけで終わらせてしまうのは非常に勿体無いです。
寝る時間が足りない場合は仕方ありませんが。
どうせなら、提出する答案には必ず「言い訳」を書き込みましょう。

「言い訳」とは、例えば「ここの記述はこれこれを意図したものです」等です。
このように書けば、もし自分の意図が採点者に伝わらない場合などは、採点者から激烈に辛辣なコメントが返ってきてくれたりします

また他にも「間違いなく意味は伝わるか」「自分の理解に誤りはないか」等、積極的に採点者のコメントを求めるのも良いでしょう。
少しやる気のない産廃採点者以外であれば、基本的に応答してくれます。
超親切な採点者の中には、非常に丁寧な解説に加えて、具体的な論述例までコメントしてくれる人もいます(これは本当に大当たりですから、是非とも大切にしましょう)。

このnoteの中で何度も何度も繰り返し書いていますが、論文式試験において何より大切なことは「採点者に伝わっているかどうか」です。
そして、コメントを要求することで、「採点者に伝わっているかどうか」、採点者から直接フィードバックが受けられる可能性が劇的に高まります。

このような理由から、「言い訳」や「コメントの要求」は積極的に行うべきです。


*ちなみに、答案に直接言い訳等を書き込んだ場合には、優秀答案として選ばれる可能性は激減すると思います(知らんけど)


というわけで、予備校を利用されている方は、積極的に活用してみてください。
高いお金払ってるんですから、是非とも骨の髄までしゃぶり尽くして下さい。
その方が良いですし、その権利もあります。

今回はこの辺にします。
読んで下さってありがとうございました。

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