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エッセイ

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心の向くままにエッセイを書いていきます。
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記事一覧

医学は一問一答ではない話

「ほんと信じられないんだけどちょっと聞いてくれる?」  そういって彼女はフスーと鼻息を荒…

渡邊惺仁
3日前
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八卦のエチュード【易経】

 易の勉強を始めて3日目になりました。  三日坊主の3日目です。新しいことを始めるとき、こ…

渡邊惺仁
5日前
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『易』と陰陽の話

 東洋医学の根底には陰陽五行説があります。  気血水、五臓論、六病位、表裏寒熱虚実。すべ…

渡邊惺仁
7日前
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私が物理学を諦めた理由

 宇宙は浪漫です。  幼少期の私は宇宙に強い憧れを抱いていました。青空のむこうに何がある…

渡邊惺仁
2週間前
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何をすべきか/何ができるか。

「先生、早く家に帰りたいけど、こんな状態じゃあ無理ですよね。ひとりでトイレにも行けないし…

渡邊惺仁
3週間前
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運と縁と恩の話

「インド人に先を越されてね。それで私は学位が取れなかった。あのインド人め〜…って今でも思…

渡邊惺仁
3週間前
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発熱外来とは何だったのか

 国の方針で、令和6年3月31日を以てCOVID-19に関する発熱外来の特例が廃止されました。具体的には国の支援体制が終了することによって、病院が発熱外来を行うメリットがなくなるということです。  発熱外来にはコストが掛かりますから、この先に同様の診療体制を続けようとすると病院側には経営的負担が強いられ、やればやるほどマイナスになるという厳しい現実があります。  COVID-19に関連する診療報酬も大きく変更されて、一部にコロナ特需と揶揄されたような状態は終焉を迎えたとい

ぐうたら哲学

 勤勉が美徳という文化は誰が何の為に作ったのでしょうか。清貧にも言えることですが、その価…

渡邊惺仁
1か月前
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暇といえる人生を希う話

「自分は暇してるんで、いつでも大丈夫です。」  義弟の言葉を聞いたとき、心の枷が音を立て…

渡邊惺仁
1か月前
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報われない覚悟

 例えば恋をしたときに、それが片想いで終わることもあるでしょう。成就することもあればしな…

渡邊惺仁
1か月前
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追憶/鍼灸の師

 それは私が医学生の頃、弓道で腰を痛めて歩くのが難しい状態のことでした。縁あって鍼灸の先…

渡邊惺仁
1か月前
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「貴方に言っても仕方ないのは分かってるんだけど」と曰う人の分かってなさは異常。

 病院という施設の本質はサービス業ですから、患者と病院の関係性は顧客と企業のそれに類似し…

渡邊惺仁
1か月前
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働き方改革っていうけどさ、

 膨大なデータ解析や事例検証から「働き方改革」が叫ばれるようになって、その潮流に最も遅れ…

渡邊惺仁
1か月前
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魔法少女を愛する友人の話

 彼の名は田中隆太(仮名)  私の高校時代からの友人です。  彼の第一印象は、授業中に電子辞書を見ながらニヤニヤしているヤバい奴でした。  後に判明したことには、田中は電子辞書の中に『魔法少女リリカルなのは』の二次創作小説データを入れて読んでいたそうです。夢小説です。辞書読んでニヤニヤも相当アレですが、中身が夢小説とは馨しいことです。  「どのキャラが好きなの」と訊ねると、彼は数学の難問を解くときと同じ表情で、 「誰が好きってことはないけど、強いて選ぶなら…普通に、な