【新月の夜によむ】夏のにおい

【作品形式】朗読・1人読み
【男性:女性:不問】0:0:1
【登場人物】読み手
【文字数】201字
【目安時間】約2分


表通りから一本入った道を
何の気なしに歩いていた

日中の熱が抜けきらないコンクリートに
降り注いだ夕立

空気はきれいなはずなのだが
どんよりと重さを感じる

普段はあまり意識しない
熱を帯びた



それらのにおいを
空気がまとっているからかもしれない

白い入道雲
蝉の鳴き声
大地のにおい
色鮮やかなかき氷
肌を焦がす太陽

季節の移ろいを
五感を通して認識する

真っ暗な夜道
このにおいが
夏を知らせてくれる

見えなくとも
影響を与え
実在すると


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