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【新月の夜によむ】心のフタ

【作品形式】朗読・1人読み
【男性:女性:不問】0:0:1
【登場人物】読み手
【文字数】222字
【目安時間】約2分


舞い踊るほど歓喜する
憤怒のあまり震える
枯渇するまで慟哭する
哄笑(こうしょう)して破顔する

幼い頃に経験した
感情の激しい揺らぎ
いつの日からだろうか
表に出さなくなっていた

心を無にして感じず
口で言葉に出さない
耳で聞くことをやめ
手で書いたりもせず
眼に入れたくもない

順を追って
フタをしていった

何も感じない
いや
感じたくない

心が……疲れちゃったんだ

だから

ちょっと休憩

時が来たら
フタを取って
私の心を
私の光を
またみんなに届けるから

待っていてね


疲弊した
心を守る
その先に
光り輝く
闇の新月

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