エンドロール　《詩》

「エンドロール」

府中　大國魂神社　多摩霊園

斎場の煙　奴の銘柄の煙草


ゆっくり吸い込み吐き出した　

寄り添い溶けて消えたあの空


反社まがいの輩と衝突

私服の丸暴　ガチガチの内定


歌舞伎町　コマ劇場前
逃げ込んだ箱　

東亜会館　立ち並ぶディスコ

人の波　紛れ込んだ

フロア抜け奥のボックス席

定のいい隠れ家　
何かわからん　安酒と食い物


目の合った女　

口説き落として肩組んでラブホテル

誰にも気付かれずに危険回避

朝方　またな
そう言って別れた　

知らない女


こんな事の繰り返し



彼奴も一緒　同じ穴のムジナ


薬物　恐喝　詐欺　

羽振を見せてばら撒く諭吉


下手打てば速攻　手のひら返し

折り返し来るはずの連絡は来ない


真夜中無灯火　盗難車

追われる赤灯

隠し持ったネタ
一発懲役　逃げるしか無い


160キロ　突き破るガードレール　

高架下激突　

悪魔が迎えに来た夜


事故死　報道　隠された事実

体裁と同調圧力　完全黙秘


胸に収めた　
彼奴の宿る光もの


鳴り止まないエンドロール

Photo : Seiji Arita