見出し画像

エアコミティアと散髪とインタビューと新刊と


生まれてはじめてバリカンを買った。

行きつけの散髪屋がGW休業、店舗への助成金もありとの話を聞き、近所の電化店で購入したのだ。

その後、すぐさま最も信頼の置ける者にバリカンを手渡し「素人なのは重々承知でお願いするのだが、我が毛を刈ってくれないか。できればツーブロックで」と、お願いし頭を下げる。
快く引き受けてくれたので「なんかこうざっくりとでいいからね。難しいとこもあると思うしさ。ははは。ツーブロック。わかる?OK?」とカジュアルに進言したところ
バリカンを素早く起動させ、まかせておけと言わんばかりに自信満々、悠々と自在にバリカンを操り、躊躇いなく我が毛を刈り始めた。

毛を刈る、という行為はとても楽しいものなのか、刈る者が楽しそうに我が毛を刈りながら笑うものだから、刈られる者としても妙に可笑しくなり、気づけば刈り刈られる者同士ゲラゲラと意味不明の笑い声をあげながら刈り刈られる始末。

小一時間の格闘の末、結果、今、私は生まれてはじめての坊主と相成り、遠く彼方を見据えております。
大変爽やかな気持ちと頭で、心は澄み切っており、誰も恨んでなどおりません。世界が平和であれと切に願っております。南無。

画像1


さて、5月17日、エアコミティアに参加します。

エアコミティアとは、ネット、また通販などを使って創作者それぞれが行う同人誌即売会のことです。(詳細は以下のリンクから)

遡って2018年5月に開催されたコミティア124。そこで初めて私は「きつねとたぬきといいなずけ」の第一巻を作って参加しました。
そこからまるっと二年が経過したことになります。

本来ならば、5月17日のエアコミティア同日に東京ビッグサイトでコミティア132が開催予定だったのです。
この開催されるはずだったコミティア132。自分にとってはとても特別なものとなる筈でした。

その理由の一つは、コミティアから始まったとも言える「きつねとたぬきといいなずけ」、その商業連載が決まり、同人版の頒布がこの回で最後になるということ。
そしてもう一つは、初参加したときから目標にしていた、コミティアカタログ「ティアズマガジン」のインタビュー記事に選ばれたこと。

この2つがほぼ同時期に叶うということで、大変嬉しく、またがんばってきた甲斐があったなあと部屋で小躍りし、たまに発泡酒でないビールなど買って飲み、浮かれていたのです。

ともあれ、状況は変わってしまいました。対面でのコミティアは中止となり、カタログも発行されませんが、連載は始まるしエアコミティアは開催される。
それぞれができることを地道にしていく。そんな今となりました。

画像2


コミティアのインタビューを受けたのは今年の二月、池袋のコミティア本社で行われました。
もともと池袋から東武東上線で数駅先のときわ台(PNの由来の一つ)に住んでいたこともあり、池袋は慣れ親しんだ街です。
地図を確認しながらコミティア本社に訪れてみると、これまでに通ったことのある道沿いのマンションのワンフロアが本社だったので驚きました。

土曜の昼過ぎに訪れたのですが、フロアではスタッフのみなさんが忙しく働き、インタビュー担当のAさんから「ここだと騒がしいので別室へどうぞ」と促されました。
正直に言って、それまではコミティアに参加しつつも、コミティアという組織を強く意識することはありませんでした。
ですが、土曜の昼過ぎに数多くの人が慌ただしく働いてるのを見て、このような支える人たちがいてくれて自分の作品が誰かの手に回っていくんだなということを強く実感しました。
それまで好意程度だったコミティアのことをそれ以上に意識するようになった瞬間でした。

別室で行われたインタビューはとても和やかな雰囲気で、談笑も交えつつ、いろんな事を喋りました。最後は喉が枯れるほどに。
脱線する自分の話を担当のAさん、記事を執筆するAさん(二人ともAさんでした)が上手に軌道修正してくれて無事に話し続けることができました。
あの日は本当に楽しかった。

順番的にはインタビューの直前くらいに連載の話が決まっていたので、その旨もお話しつつお開きとなりました。
お二人と別れてからも興奮が冷めず、ぶらっと池袋をふらつきました。
自分がよく訪れていた頃は少しダークな部分が散見できましたが、なんだかスッキリ綺麗になっていましたね。
西武池袋屋上のかるかや、まだあるんだよな~、ひさしぶりにあのうどん食べたいな~などと思いつつ結局寄らず、その日は帰りました。

画像3


今回、エアコミティアに参加するにあたり「今この時期だからこそ紙の本を作るぞ!」と強く思った切っ掛けのコラムがあります。

偶然にも自分が本を作り始めた頃からお世話になっている印刷会社の社長さんのコラムです。
自分にとってはコミティアと同じくお世話になってきた、また、掛け替えのない会社です。

正直言って自分レベルの作家ではネット通販だけではそこまで売ることができません。対面あってこその部分がありました。
通販は手数料もかかるし何より送料がかかるので通販自体を遠ざけている人もいるでしょう。
それでもコラムを読み、また、生意気に自作の本を求める方がどれくらいいるかをTwitterでアンケートなどさせてもらって、結果、本を刷ることにしました。

5月末で商業誌との兼ね合いもあり「きつねとたぬきといいなずけ」の本を自身で頒布できなくなります。これまでのように長いスパンで売っていくというわけにいかずですが、好きなところにお金が回るなら丁度いい機会だという感じで数量を決定しました。余裕のある人、よかったら買ってくださいね(^^)

画像4


というわけで、5月17日、エアコミティアというイベントがネットで行われるよ、ということだけ知ってもらえたらありがたいです。
自分は新刊(同人版最終巻)の「きつねとたぬきといいなずけ#5」、また売り切れ中の4巻も再販します。
「#エアコミティア」 をTwitterで検索すれば、当日に近づくにつれ様々な興味深い本、マンガやグッズを目にすることができるはずです。

気が向きましたら、どうぞよろしくおねがいします。(下が自分の通販サイトです)トキワセイイチ


<おまけ>
きつねとたぬきといいなずけ#5の表紙絵です。これまでと雰囲気が違いますが、これは二年前に初めて作った#1(今回の記事のタイトル写真)を今回改めて描き直したものです。絵柄も二年で随分変わるものです。

狐と狸と許嫁#5_001


サポートされたお金はマンガにつなげていきます。