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英語力で悩んでいるあなたに読んでもらいたいお話 (第4話:欧米人も驚く本当の英語力に不可欠な3つのあれ)

 前回、日本にはヘミングウェイに負けない簡潔な表現として川端康成の『雪国』の書き出しをご紹介しましたが、さらに簡潔の極みの表現があります。俳句です。代表的なものは松尾芭蕉の句「古池や蛙(かわず)飛び込む水の音」があります。あなたならこれを英語でどう訳しますか?

 古池 the old pond  蛙とびこむ a frog jumps in  水の音 the sound of water

   The old pond/ a frog jumps in/ the sound of water

 これでいいのです。まさに単純の美学。たった12語で俳句の持つリズムと情景を見事に伝えています。

 難しい単語や表現を使って長い文章を書いた方が賢そうに見える、などということは決してありません。とくに外国語を学ぶ際には単純明快にあなたの考えや意志、気持ちを論理的に伝えようとすることが、いちばん大切なのです。

 英語にも "Brevity is the soul of wit (簡潔さは言葉の命)”という諺があるくらいです。

 西欧の名誉挽回のために、ここでひとつゲーテに登場してもらいましょう。『若きウェルテルの悩み』や『ファウスト』などの作品で有名なドイツ詩人ゲーテが死に際に残した言葉は”More light!"(もっと光を)だったそうです。

 たったひとつのレゴ・ブロックで漆黒の闇に落ちていくような臨終の瞬間を表現したのです。もちろん英語ではなくドイツ語でしたが。

 これでおわかりのように、どの表現も驚くほどシンプルです。これを知って、英語嫌いだった私にも自信が生まれ、気がつけばすっかり英語好きになっていました。そして米通信社記者への道を選んだのです。

 もちろん、自分の英語おもちゃ箱に入っているレゴの色、数、形はバラエティに富んでいる方が楽しめます。単語数(vocabulary)のことです。例えば、「驚いた」と言うときにも、定番の surprised だけではなく、shocked, alarmed, startled, dumb-struck, flabbergasted など、驚きの程度によっ使い分けられると、楽しみが倍増します。ちなみに flabbergasted は「口がきけなくなるほど驚愕した」という感じです。

 さて最終回の第4話では、私が米ニュース週刊誌『TIME』の特派員だったころに実感した、英語を本当に理解するために絶対に不可欠な3点せんっとをご紹介します。これを知ればあなたの英語力が飛躍的に向上することは間違いありません。

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