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鬼門と対処方法

 方位というものに関心がない方でも、「鬼門」という言葉を一度は聴いたことがあると思います。「そっちは鬼門だから方角が良くない」 このようでしょうか。

 鬼門は、現代にまで息づく陰陽道の方位術です。北東(丑寅=艮=うしとら)の方角を鬼門といって最も忌み嫌われて凶とされました。俗に言う表鬼門です。その正反対の方位に当たる南西も(未申=坤=ひつじさる)裏鬼門として恐れられていたのです。

 遠い昔、魔や禍の象徴としての「鬼」を祓う呪術があり、北西・南西・北東・南東を四角四方といって、鬼気を祓う様々なバリアを張り巡らせたのでしょう。特にこの内、邪悪が出入りするのが鬼門と裏鬼門です。鬼門は方角の中で最も祟りがあると忌み嫌われた最悪の場所でした。

 この北東と南西を結ぶ対角線上に守りを固めた痕跡を、私達は古い都の都市計画で見ることができます。京の都の鬼門封じには比叡山延暦寺。江戸城の表鬼門に東叡山寛永寺を建立し、さらに表鬼門に神田明神、裏鬼門に日枝神社と守りを固めたといわれています。

 このように、東西南北八方位の中で北東と南西を結ぶ対角線は邪悪が出入りしないように守りを固め、おろそかにしてはいけないことがわかります。

 この対角線を私は鬼門線と呼んでいます。実際にご相談を受けた中で鬼門線を犯している場合が多いことに驚かされます。鬼門線上に出入り口を造るなというのはそのとおりです。また、鬼門線の方角の仕事を請け負ったのが、そもそもの事の始まりという建設会社の事件があったのも最近のニュースで知りました。本当に多いのに驚かされます。個人の生活の中でも、仲たがいやトラブルなどがこの鬼門線上で起きやすいのです。

 では何故か。実際のところよくわかってはいません。陰陽道における八方位の持つ意味をひも解くと、北東は太陽が昇る前の陰の極み「終わり」であり、南西は太陽が沈みつつあるところ「万物の収蔵」です。ここから太陽の運行が人間に及ぼすエネルギーの変化かとも考えるのですが、正確なところはわかりません。古代人が長い時間をかけて会得した不思議な経験則です。

 対処法は、この鬼門線を守護線という意味に変えておくことです。魔よけという方法もいろいろあるようです。後日この魔よけの話もしたいと思いますが、今日の人が一番気にする仕事などの場合では、その方位の先にある神社を訪ねて守護をお願いすることです。方位よけの神社へ正月参拝に行きますと沢山の企業の方が会社名で参拝されているのに驚くと思います。それだけ実利が期待できるのでしょうか。

 参拝は、まず日ごろのお護りの感謝をするのが先であることを忘れないでください。そのお護りの護りのまにまに、その場所で仕事をさせていただくのです。そうすれば鬼門線は神さんの守護線となります。感謝する気持ちはご祭神との交信の心構えです。神頼みの丸投げではご利益は期待できません。御祭神の神気で感得した、その丸い心で観えないところが観えてきたり、見逃したところに気づいたり、欲を抑えることができたりします。吉凶禍福の生成変転と鬼門線との間には眼に見えない因果関係があるのではないでしょうか。実に不思議な事例を目の辺りにいたします。

 この鬼門線とクロスする対角線、北西と南東を結ぶ線があります。私はこの対角線を福門線と呼んでいます。陰陽道ではこの北西を乾天門、南東を巽風門といいます。南東の巽風門の持つ意味は「成長・整う」、北西の乾天門の持つ意味は「完了」です。八方位のこの対角線は吉相のいい線です。皆さんから「お蔭様で・・」とよい話を伺ったとき、調べてみますと基本的にこの福門線を使ってる方が多いからです。

 うらない・まじない・いのり 不思議な世界への入り口です。話をひも解いていけばいくほど、今でも私たちの生活の中に色濃く残っていることに驚かれることでしょう。

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