No.090 ForecastingとBackcasting
日本のメディアを見ると、自動車のEV化や化石燃料の削減は絶望的だという論調が目立ちます。その点について否定するものではないですが、日本はどうもForecastingの発想からしか抜け出れていないことが気になります。
Forecastingはいわゆる予測ですが、過去のデータに基づいて、様々な要因を加味しながら未来を予測することを言います。しかし、このForecastingという手法では、過去の延長線上でしか未来を捉えることができません。
これに対して、野心的な目標を達成するためには、代替可能な未来を探索し、その実現可能性と影響を検証し、我々がどの程度未来に影響を与え、選択できるかを示唆するようなアプローチ(バックキャスティングの手法)が必要とされています。
バックキャスティングでは、まず、野心的なあるべき姿を設定します。これがVisionになります。例えば悪人が世界征服を企んでいるとしたら、2050年に世界征服するという目標がVisionになります。
でも世界征服は大変です。
みんなには嫌われるし、部下は支配できているかもしれないけど、部下から尊敬されているかどうかはわからないから、いつ寝首をかかれるかもしれません。支配者として強くあるためには厳しい鍛錬も必要でしょう。遊んで暮らせるわけでもないでしょうし、強がっているけど、実は毎日不安じゃないでしょうかね。ヒーロー達が次々とあらわれて世界征服を阻止しようとしてきます。世界征服なんてそもそも非現実的な目標だし、達成するためには多くの困難を乗り越えなければなりません。それでも、悪人たちは世界征服を目指しますし、それを公言します。それが彼らの存在意義(Mission)であり、「世界征服なんて無理だよ」とか「非現実的だよ」とは言わないのです。
子供の頃あんなにヒーローものの寸劇を見て育った我々は一体何を学んできたのでしょうか?
パリ会議で、2050年に1.5度削減というVisionは全世界のVisionとなりました。実現困難なのはわかってます。ひょっとしたら世界征服より難しいかもしれません。その野心的な目標を達成しなければ地球はサスティナブルではないというのが共通認識なのです。無理とか絶望的と言わず前向きに考えよーぜ。
以上です。
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