3DS最汎用構築、裏白耐久捨て身
概要
3DSイルルカには裏白耐久、白捨て身等と呼ばれた構築が存在した。これはみやこさんといいんちょうが同時期に独立に考案したものと言われ、その後両者の対戦を介して発展し、最終的にはプレイヤー間に広く普及した。白捨て身は基本的に裏に置かれるが、表のパーティの自由度は高く、先日の記事で記述した無霧4Sの他、メガボディを含んだ耐久パーティや超Gモンスターを用いる例もあり、ほぼ任意のパーティと組み合わせることが出来る。その汎用性の高さはイルルカSPにおける所謂マツケンリバに匹敵する。本稿では白捨て身のコンセプトと成立から始めてパーティ内容を記述し、その動きや強さを紹介する。
1 序論
DQMやポケモンのようなプレイヤーが育成したモンスター複数でパーティを構成し、対戦を行うゲームにおいて、パーティ構築の総数は目を見張る程である。膨大な数のモンスターからたったの数匹を選び出す組み合わせの数が多いだけでなく、選んだモンスター1匹1匹に様々な育成のパターンが存在する為である。昨今はゲームプレイにおけるインターネット利用も一般化して全国のプレイヤーと戦えるようになったこともあり、対戦を行っていれば日々先日とは異なるパーティを目撃することは間違いない。そうであるならば、その時々で最強と称せられるパーティも常に変わっていきそうなものであるが、実際にはそのようなパーティが無作為に決まることは少なく、何らかの傾向があることも多い。
これは一見パーティの多様性に反するように見えるが、実はその逆で、そこからの順当な導出である。対戦環境には汎用性の高いバランス良いパーティの他、特定の状況でのみ極端に強いパーティ等、特化型のものも存在する。長所も短所も極端なパーティが多数存在し、かつそれらの長所同士が別々の場合、当然ながら、あらゆるパーティに勝てる汎用性の高いパーティを構築しようとするならば、それら多種多様な長所の尖る極端構築に勝てなければならない。それが可能になるパーティの条件は厳しく、それ故に強いものは極めて限られてくるのである。
イルルカSPにおいてその条件を満たすのが所謂マツケンリバであるが、3DSにおいても同様に汎用性の高いパーティが存在した。それが裏白耐久捨て身というパーティで、しばしば白捨て身と呼称された。本稿は3DS環境で何が求められたか、その要求に対し白捨て身が如何に応えていたかを、その構築内容を明らかにしつつ解説する。
2 3DS環境の要求
3DSイルルカにおいて、裏が対策しておきたい相手を列挙する。基本的にはチェインを止められることが最優先で、その上でチェイン以外とどれだけ戦えるのかがパーティの評価基準となる。
チェイン
表でチェインを唱えた後に裏へ交代、超行動速いスモボに続いて連携で攻撃するパーティ。理想的には表の時点でラウンドゼロや黒い霧、幻魔の獄等を用いてチェインの発動自体を阻害したいが、パーティ構築によっては無理であるし、それが可能なパーティを使っていたとしても、常にチェイン阻止に成功するとは限らない。その為、チェインされてしまった際の対処が裏には求められる。高耐久1枠モンスターにゼロの衝撃をさせながら3枠モンスターでまねまねをしても倒すことは出来るが、汎用性の乏しい特化構築になる。
速攻
行動順操作特性を用いて先制し、相手に行動させず一方的に倒す戦法の総称。超行動速いを多数採用するものだけでなく、シャッフル+スモールボディ、リバース+行動遅い&スモールボディという構築も含む。表が耐久パーティで任意の速攻パーティの攻撃を受け切れるという前提に立たない限り、これらのパーティのうち表で対処出来ないものに関しては裏で対応出来なければならない。
回復耐久
HPバブルでHPを上げた大型モンスター、或いは亡者の執念とリザオラルで無限蘇生するもの、メタルボディで回復効率を上げているもの等。短時間で相手を倒す能力こそ(亡者デスピサロのような例外を除いて)無いものの、回復を破って倒す手段が無ければ攻撃側が疲弊し、先に全滅するかMP切れで終わる。赤相殺もこのカテゴリーに入る。
捨てゼロ
捨て身とアストロン、若しくはラウンドゼロを組み合わせることで一方的に攻撃して数の有利を確保するパーティ。捨て身を赤霧で防がれないように時々冥界若しくは白い霧を新生されていることが多い。
3 白捨て身の構築内容
これらの要求に対する回答として機能する白捨て身の具体的な構築内容を、標準的なものと私が実際に使っていたもの、そして歴史的経緯によって誕生したその他の改変可能性、この3つに分けて記述する。
3.1 白捨て身の標準形
ベビークラウド
特性:いきなり白い霧→超行動速い
個体値:HmaDSw
スキル:オムド・ロレス、幽霊船、サポーターSP
武器:光の杖(マインド耐性+、眠り耐性+、麻痺耐性+)
ダークドレアム
特性:AI1~2回行動→時々白い霧
個体値:ADsw
スキル:チャンピオンSP、冥王ネルゲル、攻撃力アップSP
武器:大魔神の斧(アンチ身躱しアップ、スタンダードキラー、麻痺耐性+)
オルゴ・デミーラ
特性:AI1~2回行動→時々白い霧
個体値:ADsw
スキル:戦士SP、狭間の闇の王、クスリ売りの祈り
武器:ゲイボルグ(アンチ身躱しアップ、マインド耐性+、眠り耐性+)
エルギオス
特性:根に持つタイプ→時々白い霧
個体値:HMaDsw
スキル:クスリ売りの祈り、鉄壁、ブオーン
武器:光の杖(マインド耐性+、眠り耐性+、消費MP節約)
3.2 筆者の白捨て身の構築
3.3 その他の改変パターンと歴史的経緯
白捨て身において標準的にはスモールボディのモンスターには超行動速いを新生して超速速攻への備えとするが、AI3回行動を新生することもある。特に多いのがはぐれメタルの場合で、この時はスクルトだけでなくマジックバリアを搭載し、守りを固めることに特化する印象がある。これはみやこさんと同時期に独立に白捨て身を開発していたいいんちょうが、白捨て身同士の対戦において相手の攻撃を防ぎ優位に立つ為に考案したとされる。これに対してみやこさんの出した対策は時白ダークドレアムを超速キラーマジンガに変え、はぐれメタルを行動前に通常攻撃で倒すことによって補助呪文の使用を止めたとされる。但しこれはスタンバイにキラーマジンガを入れるということを必ずしも意味しない。凍て付く波動や時々白い霧の人数を減らすことになればチェインや速攻パーティ対策としての機能が劣化するからである。超速マジンガは汎用性が高く他のパーティでも採用し易いことから普段は表に配置しておき、白捨て身に超速アタッカーが必要な時のみ合流させるという用法が可能である。それを実現していたのが表に無霧4S(以下の記事参照)を置き、裏を白捨て身とする構築である。この構築はみやこさんが長らく使用し、無敵の白と称される程の強さを誇ったとされる。
AI3スモボの採用は現在でも続いており、超速に対して弱いという欠点に関しては表のパーティを工夫することで対策している例が多々見られる。例えば表をいきなりシャッフルの特性を持つアスラゾーマにすることで超速よりはぐれメタルが先に動く状況を作ったり、耐久力のある2枠で速攻パーティの攻撃に耐えつつ反撃で倒せるようにしている例がある。シャッフルではぐれメタルを早くした場合白い霧発動後には超速に先制出来なくなるが、白い霧下では特技の凍て付く波動を使われることが無いのでスクルトを消される心配は薄く、最早先制はしなくても耐久面は安定している。AI3新生されるのははぐれメタルだけでなくベビークラウドの場合もある。ベビークラウドの利点は眠りと混乱のブレイクを持つことで、相手を状態異常によって止める能力が高い。白捨て身同士の対戦において相殺によって相手の超速スモボの異常を止め、自分だけ通すことが出来るのは有利である。また、貧弱なステータスを活かし、チェンジによって相手のモンスター(特に回復役)の無力化を図れるのも強みである。
4 対策必須パーティへの白捨て身の立ち回り
白捨て身を用いて3DSにおいて対策が必要なパーティに対しどう立ち回るかを、標準形と筆者が使用していたものそれぞれの差異が分かるようにしつつ記述する。基本的にはスクルトや回復呪文で時間を稼ぎながら状態異常、捨て身、幻魔の獄によって相手パーティのモンスターを1匹ずつ無力化して勝利を狙うというのが大まかな方針となる。特に超速スモボは相手のスモボを捨て身で倒せば先制が確定するのが立ち回りにおいて重要となる。白い霧と凍て付く波動の特性により相手の自己強化は許さず自分だけ自己強化出来るのも強みである。状態異常耐性が完全に埋まっているモンスターがパーティに入っていないが、3DS環境においては異常耐性が高めのモンスター2匹に光の旋風があれば十分に安全である。
4.1 対チェイン
チェインの発動を止められていたならば白捨て身を使わずとも既に勝っている筈なので、チェインを唱えられた場合についてのみ記述する。基本的には時々白い霧と凍て付く波動の発動を期待しつつ捨て身+アストロンで相手側にのみダメージを与え、加えてチェインを消せるのが理想的ではある。但しチェイン側もそのようなことは分かっていて、アストロン使用権がまだ残っている状態ではパーティの1人にチェインを唱えさせることも多い(こうすれば凍て付く波動で消されても再びチェイン状態になれる。この動きを再チェインと呼ぶ)。
再チェインは強力だが誰か1匹をチェインを唱えるのに回す為攻撃役の人数が減り、相手を全滅させ切れないことが多い。そこに付け入る隙があって、再チェインすると読むのであれば白捨て身側はアストロンせず、スモボで異常を撒きつつ幻魔の獄でチェイン役のMPを枯らし再チェインを防ぐという動きが可能になる。チェインがもう唱えられず状態異常で攻撃役の人数が少なくなるのであれば白捨て身は回復呪文によって立て直すことが出来、反面回復手段に乏しいチェイン側だけが疲弊して倒れることになる。白い霧+スクルト+幻魔の獄によるロックが成立すれば抜け出すことは困難である。
しかしながら、再チェイン読み幻魔の動きも万能ではない。チェインパーティには先制を確保する為に素早さを高めた超速スモボがいるのが通例であるが、基本的に使われるのは最速のヘルホーネットである。ヘルホーネットは麻痺ブレイクの特性を持つこともあり、焼け付く息を採用していることも少なくない。この場合、ヘルホーネットの焼け付く息によって白捨て身側が機能停止に追い込まれる可能性は低くない。
そのような状況にも対応出来るように改変したのが私のパーティである。ベビークラウドをゾーマズデビルに変更し、焼け付く息を習得させる。これにより凍て付く波動の発生率を上げ、焼け付く息相殺からAI1~2回行動によってラリホーマやメダパニダンスによってチェイン側を止めることが可能となっている。ブレイクは無くなるものの、チェイン側は異常耐性が低いことが多いので問題になり難い。AI1~2回行動で2回目の行動が行われるか、ブレイク無しで異常が通るか、確率論的要素は多々あるものの、チェインに対して取ることが出来る有効な行動の選択肢が増えていることは間違いないことである。サポーターSPを邪神レオソードに変更した為バイシオンが無くなっているが、これはオルゴ・デミーラの捨て身習得スキルをオリハルゴンにすることによって補っている。攻撃力アップと攻撃を1ターン内に安定的に行うことは出来なくなってはいるが、耐久力があり強化が消され難い白霧であるからその遅れは致命的ではないと判断した。
4.2 対速攻
超速速攻に対しては超速スモボで状態異常にすれば終わり。リバースやシャッフルに対しては(ゼロの衝撃+)捨て身+アストロンによって白霧を確保し、行動順の不利を覆すことを狙う。リバースに対しては仁王斬りの連発を基本的に受けられないので霧を取れない場合は勝てない。シャッフルに関しては1回行動のベビークラウドは素早さが高い為、霧を取れなくてもそのまま先制しての異常撒きで勝てる可能性はある。
この点に関しては私の型は標準形に劣っている。オルゴ・デミーラにゼロの衝撃が無い為、リバース相手にアストロンと同時にゼロの衝撃を使うことが出来ない。対シャッフルにおいてもゾーマズデビルは素早さが低い為、行動回数が少なめにも関わらずシャッフルのままでは先制が期待出来ない。そこでシャッフルでの先制は諦めて個体値も素早さを落とし賢さを上げている。サポーターSPを外して邪神レオソードにしている為にイオグランデを習得しており、呪文攻撃の火力が期待出来るからである。
4.3 回復耐久
適宜スクルトで守りを固めバイシオンで火力を高め幻魔の獄で相手のMPを0にする。耐久パーティは耐久に力を注いでいる分火力に乏しいのでその攻撃を受けるのは比較的容易。デスピサロ以外の物理火力を持たない2枠はそれで止まる。亡者リザオラルに対しても捨て身+ラウンドゼロの択がある為相手に油断を許さない。超ハードメタルボディ新生したギガデーモンや魔戦車ダビドに対しても修羅の獄を使えば回復不能かつメタルボディで減らされずに大ダメージを与えることが出来る。赤相殺に対しては安定して勝つ方法は無くお互いに削り合う泥沼になる。一応私のパーティの場合エルギオスからHPバブルを外した影響でHPは低いが、その代わりマジックバリアとベホマズンを得ているので長期にわたって回復の必要性がある戦いには強くなっている筈ではある。
4.4 捨てゼロ
捨て身相殺して状態異常で止める。終わり。正直なところ、捨てゼロしか出来ないパーティは捨てゼロ戦法に加えて白霧スクルト幻魔によるロック戦法も使える白捨て身に勝るところが無い。
5 結論
3DS版イルルカにおいては白捨て身と呼ばれるパーティが存在し、チェイン、速攻、回復耐久、捨てゼロ等の対策必須のパーティに対する対策として機能した為、様々なパーティの裏として配置され活躍した。特に有名なのがみやこさんが無霧と合わせて用いた事例である。そして本稿では標準的な形だけでなく筆者が使用していた構築も紹介し、その運用における違いも記述し、両者の構築の差異も明らかとした。尚、本稿では先日の無霧の記事において3DSイルルカに存在した個々のパーティやそれらとの対戦に関する詳細な議論は省略している。疑問点や白捨て身の立ち回りにより深い理解を求める場合はそちらも参照のこと。
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