【コラム】初声(はつこえ)の記憶
声の記憶っていったいいつごろからあるのだろうか?
僕は試しにずーっと声の記憶をたどってみた。
実はこんな切り口で記憶をたどってみるのは初めてだったが
案外と自分がいろんな人の声を覚えていることに驚いた。
好きだったあの子の声はまあ・・・覚えているとして。
意外にもすっごく苦手だったあの先生の声も覚えていた。
その先生は今ではちょっと問題になるくらいすぐ手をあげる小学校のおじさん先生で、とにかく怖かった。
だけど、なんとその先生、卒業式のあいさつで泣いていたのだ。
嗚咽しながら教壇であいさつしている先生の野太い声を僕は覚えていたのである。
一瞬の記憶だ。
さらに記憶を遡り
たどり着いたこれがおそらく一番古い記憶。
幼稚園の先生の声だった。
これは自分でも納得だ。なぜならば幼稚園の先生は僕の「初恋の人」だから。
ぼくは先生にかまってほしくて、やんちゃしまくるわかりやすい悪ガキで
その時はきっとやりすぎたのだろう・・・
僕をしかる先生の声色が一瞬変わったのを僕は覚えていたのである。
恐ろしい記憶だ。
「初声の記憶」は初恋の恐ろしい記憶だった。
とさ
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