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坂道×少女歌劇の粋、ここにあり!乃木坂46版セラミュー 

4/11に開幕した、セラミュことミュージカル「美少女戦士セーラームーン」チームMOONを4/12に観劇。
結論から言うと、すさまじいキラキラとエネルギーを摂取した

前提として、予備知識ほぼゼロ。セーラー戦士とタキシード仮面以外のキャラはほとんど知らない。あとは宝塚も見てきたのでタキシード仮面に天寿光希さん出るんや、他にも何人かOG出てるな、と思った程度です。5期の最推しがてれぱんなのでMOONの方だけチケット確保できたとこで満足して、行ってみたら熱すぎた。

【5期生メンバー感想】

井上和(セーラームーン)  
緞帳上がっていきなりフライングで登場ですかうさぎちゃん!?
その後も1幕はほぼ出ずっぱり。中学生月野うさぎのドジでおバカなところを快活に演じ、変身シーンを始めとした歌唱パートでも安定感を見せつつ、最後まで笑顔と元気を欠かさずやりきった。バスラでも「あ、歌上手いじゃん」と思わせてくれたが、このセラミュでも健在。声色も透明感がありかつアニメ声で、キュートかつ声にまで華があるという稀有な存在である。
2年前のお披露目トップバッター以来、とにかく「背負いすぎている」和ちゃんだが、期待に応え続けているところまですごい。
 
小川彩(マーキュリー)
あーやは「サイズ感」も含めてマーキュリーとして可愛い。和ちゃんムーンに続いて2番目に登場する戦士だが、亜美としての制服姿は同級生の中でもキラっと光っている。和ちゃんのキラキラぶりが太陽のごとき(月だけど)なので、クールなあーやが上手い具合に中和してくれている。
 
岡本姫奈(マーズ) 
シャープな彼女のアイドル性には赤が似合う。そして、バレエで鍛えた脚線美がぶっちゃけエロい。マーズ/レイは黒髪ロング美少女、巫女、赤い衣装にヒール、実はお嬢様とフェティッシュな属性てんこ盛りなので、健康的なエロさも必須なのだろう。
 
五百城茉央(ジュピター) 
スケバン風の制服で登場。きっきは背が高くて包容力があり、何より歌も上手い。「サルビアの花を覚えているかい?」でいろはとユニット組んだのは伊達ではない。登場してから大使館でのパーティーに至るまでの、乙女チックないじらしさの見せ方もよかった。2幕での立ち回りの見せ場が多い。
 
池田瑛紗(ヴィーナス) 
初日の怪我が心配されていたてれぱん。ビジュアル爆発。えぐい。金髪と髪型、オレンジの衣装も似合っており。体型がリアルにリカちゃんかバービー。元々の声質も和ちゃん以上にアニメ声で、2.5次元のこの舞台に合っている。美貌に知性に根性に…天は彼女に何物を与えれば気が済むのか。
 
それから、2幕で映像ではあるがクイーン・セレニティとして登場したいろはちゃん。セリフ回しは…ちょっと初々し過ぎるかもしれない。映像ゆえにどうしても浮いてしまいがちだが、生での芝居心はロミジュリに期待か。あと、トンボみたいな羽根がなんか微妙…やっぱ彼女は芝居より歌なのかなと。
 

【ストーリー寸評】

セーラームーン初期(90年代前半)のマンガやアニメのストーリーをぐっと凝縮。ヴィーナスまでの5人が集結→紫水晶の謎&ダークキングダムとの戦い→月と地球をめぐる前世が明かされる→クイン・メタリアとの決戦までを、前世の説明まで含めてコンパクトにまとめた。「なんかCrystalとか外部太陽系戦士が出る回とか最近の新作とかとにかくいろんな展開がある」程度にしか把握していなかった身でも分かりやすい。
 なので、演出面でも90~00年代初頭要素が感じられた。まことのスケバン風制服、音楽の日常系アニメっぽさやアンサンブルの一般人の衣装が何気にバブル風なところ、東京タワーは登場してもスカイツリーは無いところも然り。

【ルナ&同級生の方々】

本作に欠かせないのが、猫のルナのぬいぐるみと声を担当した方。ルナをぬいぐるみの操演で出すアイデアがなければ、全く別の芝居になっていた。活躍はMVP級でした。
ルナを映像でやったり、人間が演じることもあり得ただろうが、この技法でセーラームーンらしさがミュージカルでも保たれていたのだろう。
そしてうさぎの同級生のぐりおとなるを演じてくれた中野美優さんと上杉柚葉さんも。失礼ながらぐりおとなるについては幕が開くまで存在すら知らなかったが、コミカルに舞台を盛り上げてくれました。(CCさくらでいう知世ちゃんポジション?)
 

【5期生をより「乙女」にしてくれる男役な方々】

坂道を知る前から宝塚を観てきたのでこちらの方々の活躍にも触れねばならない。
敵役のダークキングダムに宝塚の卒業生が3人(クンツァイト飛龍つかさ、ネフライト留依まきせ(留依蒔世)、ジェダイト大原万由子(陽向春輝)。さらにタキシード仮面にも天寿光希さん。これほど「男役」が集結したセラミュは過去にない。
さらにゾイサイト明音亜也さん、クインベリル松原凛子さんも同様に凄味を見せている。
 何せ、物販でダークキングダム四天王のグッズもあってびっくりしたんですよ!乃木坂版なのでセーラー戦士とタキシード仮面しかその手のグッズなんてないと思ってたら普通に需要あって、乃木坂以外の演者のファンの方も買ってるし、逆に乃木坂ファンが四天王のオンナになっていたりする。
 
 その天寿光希さん。二枚目であることは存じ上げておりましたが、いい感じに抜け感がありつつ、頼もしさとエンディミオンとしての貫禄も見せつける。
 和希そらくんや七海ひろきさんでも格好よかったと思うけど、おそらくこの2人だとチャラすぎるんよな・・・もう少し大人の男っぽさが出せたのが天寿氏。
 んで、四天王の皆さん、所作のハマりぶりは言うまでもなく、なんか5期生とフラグ立ってるんですけど。
 クンツァイトVSヴィーナス、ネフライトVSジュピター、ジェダイトVSマーズ、ゾイサイトVSマーキュリーで戦ったかと思えば、大使館での舞踏会と、2幕の前世回想シーンで何気にそれぞれカップルになってデュエットダンスするシーンがある。
 しかも、大使館ではロッカーに、それから2幕のクラブではDJに扮してノリノリで演じているクンツァイト飛龍つかさ様がいるんですが。前世でヴィーナスをエスコートするとこなんか紳士そのもの(なのでてれぱんがキャピキャピの娘役に見えてくる)なのに何というギャップ。というか、飛龍つかさがクラブDJをやり天寿光希をお姫様抱っこする舞台なんて今後見られるのか!?(この辺から、劇場で見てた時猫ミームでいうとこの呆然としてるキジ猫状態に)
 1幕の舞踏会ではうさぎ、亜美、レイ、まことの4人がドレス風衣装で踊るが、ここで衛と踊る和ちゃんの衣装が白のドレスで、そこでのデュエットダンスがまた和ちゃんの初々しさと、天寿氏の包容力で胸キュンになれる場面でもある。
 そんなんで、敵チームの格好よさがまた5期のセーラー戦士のキュートさと、舞台全体の華を引き立ててくれたのでありました。 (SNSで娘役にしかみえないメンバーのショットを挙げてくれる飛龍さん。あなたは神か)

【見れないけどSTAR版への期待も】 

STARの方も初日を迎えたが、現状手元にSTARのチケットはご用意されていないが、MOONの熱気にも負けていられないと思うので、個人的な期待感を。
 菅原咲月(ムーン) おそらく、MOON以上にフツーの女の子の変身ストーリーを体現してくれるだろう。2年間苦楽とともにしてきた和ちゃんと同じ役で、向こうが先に結果を出したため嫌でも比較される。ギャルでノリのよいとことは和ちゃん以上にうさぎに近いとも思われるので(本人はパンフで「正反対」と言ってるが)、より等身大の、女の子の夢を叶えてくれそうなセーラームーンになりそう。

中西アルノ(マーキュリー) 今回の10人の中で、一番どう転ぶか分からない配役であると思う。本人がああいう飄々とした人でもあるし、そもそもこういうキャピキャピのキャラクターものから一番縁遠い位置にいる。優等生の亜美をどう演じるか、動いてる姿が一番見たい役かもしれない。
 
一ノ瀬美空(マーズ) 可愛いさが増してお嬢様っぽさが増しそう。ストレートに彼女の可愛さを活かすならムーンかヴィーナスが向いているところにマーズなので、(あーやへの溺愛ぶりに象徴されるような)可愛さの裏にある魔性を見せるチャンスだろう。
 
冨里奈央(ジュピター) ほぼそのまんまのイメージや。スタイルよくて同期の前だとイケメンで、包容力あって乙女なところまで。ビジュアル再現度はバッチリなので、あとは舞台度胸を見せつけるのみ。
 
川﨑桜(ヴィーナス) MOONに比べると、アイドル感というか親近感が増す。てれぱんは二次元の住人すぎたが、さくたんはさくたんで「クラスで一番可愛い子が、そのまま戦隊ヒロインに大変身」を体現してくれる。
 
(ちょっと気になるところ)
うさぎを「お団子頭」と呼んでいた衛、2幕でいつのまに「うさこ」に呼び方が変わっていた。なぜ変わったか全く説明なし?
ラストシーンはセーラームーンの(セラミュのシリーズでの)ストーリーがこれからも続いていくようにほのめかす。実際過去にウラヌスやネプチューンが登場するバージョンも上演しているし、今回は5期生10人の役替わりとなったが(前回の3・4期生verも同じ)、将来6期生で3度目の乃木坂セラミュとなったら、外部太陽系戦士を加えた新展開もあり得よう。

【ショーパート】

ライトはメンバーカラーではなくキャラクターのカラーに合わせるらしい。劇中のナンバーをやりつつ、ショーの最後はムーンライト伝説は外せない様子。てれぱんもぎこちなさはほどんど感じさせなかった。
 (またも余談だがムーンライト伝説と乙女のポリシーを宝塚は2年前、月組の舞浜アンフィシアター公演で披露したことがある)

 んで、通して観てやはり2.5次元の元祖というか、映画でもドラマでもなくミュージカルとして、乃木坂版の前から愛されている所以もわかってきた。
 我々が生きている三次元の空間で、女の子がキラキラの衣装をまとって正義のヒロインに変身!というギミックを最も違和感なく表出できるのが演劇なので。美奈子がいきなり「月に行きましょう」と言って、宇宙船も何も出てこずに本当に月に行ってしまうなんて展開を違和感なく客に理解させるのも舞台でしかできない。

以前から乃木坂と宝塚の接点を勝手にちょくちょく見出したりはしてたけど(特に、シンクロニシティや人は夢を二度見るのダンスにおけるスカートさばきの娘役っぽさ)、
こんな形で双方のファンダムには堪らない形で結実するとは、兼業ファン冥利に尽きるっす。
公演は29日まで。短いがこの舞台が、すべてのキャストの観客の思い出に残らんことを。

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