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乃木坂46に、宝塚のスターシステムをあてはめると?

 もはや旧聞ですが、乃木坂46の36thシングル「チートデイ」のフォーメーションが決まり、センターは井上和ちゃんが2度目の表題センター。そして大阪、名古屋、神宮とまわる全国ツアーでも事実上座長をを務めてます。。5期生の彼女は、3年目にして2度も真夏の全国ツアーを率いることに。

 で、乃木オタになる前に10年以上の宝塚観劇歴があったオタクの端くれとして、どうしても書きたくなりました。

井上和さんのキャリアをサンプルに学ぶ、宝塚のスターシステム!!!!


ええ、兼業してると至るところに共通点見いだせるんだもん。ハイソでお上品なカラーで売り出したり、ライブはレヴューだし、セラミュでもOGジェンヌさんの活躍絶大だったし。単独卒コンというサヨナラショーもあるし、。

 宝塚の5組にはそれぞれ、男役トップスターとその相手役の娘役トップを置き、この、組のトップスターが、乃木坂でいえばエースでありセンターであって、人気と実力でもって組を牽引する。
ただ、宝塚の方が「序列」に関しては厳格にとっている。2番手男役、トップ娘役、男役トップ…と格が上がるにつれ明らかに豪華になっていく衣装とか、基本的に先輩のスターが退団するか異動しないとそのポジションには上がれなかったりとか。

で、この「出世のスピード」にも違いがある。天海祐希さんの研7(入団7年目)のトップ就任は史上最速で未だ破られていないし、早ければ早いほど当然劇団から期待されている証し。人気や在任期間もおおむね比例する。

 入団からのジェンヌのスター街道には、人生ゲームのミッション的な要素があり、初舞台以降、いろんな抜てき機会が控えている。例えば…

・首席入団。初舞台生は成績順で席次が出て、1番で紹介される子が成績1位。入団して各組に配属されるまで、首席の子が事実上の期の代表で、委員長みたいなポジションだろうか。

・入団翌年1月(4月に入団して、その年度の正月)の阪急電車の初詣ポスターに抜擢される。

・研1で早くも本公演でセリフがつく。1組の人数が多いので、中堅になるまでセリフなしモブ役ばかりというジェンヌも少なくない中でこれだけで目立つ。少年少女の役が多いが、ピンチで主人公に助けられる役とかトップと言葉を交わす役だったりすればなおのこと期待値UP。

・新人公演の主演。 新人公演とは入団7年目までのメンバーだけで本公演と同じ演目・配役をやるもので、ここで主演するとスター候補とみなされる。ライブでの曲センターくらいには重要なポジション。7年目までチャンスがあるが当然主演が速く回数が多いほど期待の証。天海祐希さんは1年目で経験したし、抜擢の早い娘役は2~3年目でもバンバンヒロインをやったりする。
 
・上級生を抜く  新公主演経験者同士でも基本的には上級生(先輩)の方が扱いがいいのだが、上級生よりいい役、出番が多い、衣装が豪華、ということが時々起き、そうなるとトップ街道にぐんと近づく。

・バウホール主演  宝塚大劇場の隣にバウホールというキャパ500くらいの小劇場があり、ここでの主演もトップ就任までの事実上の必須条件。主演するならだいたいは10年目くらいまでだが、新公学年で主演できると経験値ポイントUP。後述するが、今年のセラミュなんてまさしくこのバウ公演的。

・いわゆる番手がつく 新公主演とバウ主演を経験すると、名実ともにトップレースに名を連ねることになる(フロント経験者くらいの感じ)。トップの次に2番手がいて、3番手、4番手…と序列が固まっていく。2番手とか3番手なんてのは劇団が公式にそう呼んでいる訳ではないが、習慣として定着しているポジション。ひとつ分かりやすいのは公演パンフで、その他大勢のメンバーと違って大きな写真で載せてもらえること。それからフィナーレで大階段を降りてくる時にセンターで1人で歌唱パートを任せてもらったりしている。作品によっては基本トップコンビと2番手しか載らない公演ポスターに3、4番手でもお呼びがかかったりする。

 これらは全てクリアしなければならないものではなく、成績下位でもなったトップはいるし、7月に就任した新月組トップの鳳月杏さんはそもそも後輩の前トップ・月城かなとさんに抜かれ、かつ新公も単独ではなくダブル主演のような扱いだった。とはいえ多くのトップスターは、年に1人しかなれない首席や初詣ポスターを別にすれば早い時期にこれらの経験をクリアしていく。

 で、和ちゃんである。
5期お披露目トップと絶望の1秒前センター、1年目のこの大役に応えたのはまんま首席入団&初詣ポスターのミッション達成であるし、それに応えられるだけの美貌と華を備えている。お披露目ビジュアルの時点で無限大カラットのダイヤの原石感がすごかったのは、坂道好きなら覚えていよう。みーきゅんのストレートな可愛さやきっき、あーやの愛されオーラ、てれぱんの知性溢れるビジュアルなどとはまた別の、王者たる資質を備えたビジュアル。個人としての好き嫌いとは別に、彼女がセンターにいることに納得せざるを得ないのだ。

 当然、抜擢ぶりもすさまじい。順当に人は夢を二度見るで選抜入りしておひとりさま天国でセンター、バスラでも大活躍。チートデイで2度目のセンター、6期生オーディションでも広告CMにバンバン登場と、乃木坂の看板メンバーとして超・順風満帆のスター街道である。

どれほどのスピード出世に映っているか

和ちゃんの経歴は、宝塚スターのソレに比肩させてみると、

5期生お披露目トップバッター:首席入団&初詣ポスター
絶望の1秒前センター:新公初主演(研3)、ついでに本公演でも既に役がつく
32th初選抜:順当に4番手→3番手とステップアップ
33thセンターと全ツ座長:新公卒業後即2番手昇格(研8)
(時系列逆転するが)セラミュ主演:バウホール主演(研7、菅原さっちゃんとW主演)
36thチートデイで2度目センター、全ツも座長:33thからの2番手期間を経てトップ就任(研11)

 くらいのスピード出世であろう。通常、男役トップになれるのは平均すると研15前後で、研12より若い就任だと「早い。期待されてるな」という印象。
 またセラミュに出演していた元ジェンヌさんのうち、ダークキングダムの飛龍つかささん(クンツァイト)と留依まきせさん(ネフライト)は新公主演経験者で、タキシード仮面の天寿光希さんは主演経験はないものの名脇役として長く在籍、ジェダイトの大原万由子さん(芸名:陽向春輝)は新公でちょくちょくいい役をもらっていた。

セラミュの「バウW主演」っぽさ

んでさらに、同期の関係性というエモエピソードが加わる点でも宝塚と坂道は共通する。同期で稽古し合った話とか、抜擢スピードにも差があるので後から新公主演した子が先に主演した同期に助けてもらったり(当然そこで先に主演した子は脇にまわる)、そして組替えして、違う組で同時期に主演したりトップになってたりすれば超エモい。絶望の1秒前の後、バントエイドでセンター任された菅原さっちゃんとはまさにこのバディ。前述のバウ公演は、若手を同時に売り出すために同じ演目を違う主演キャストでやったり、主演が2人いる演目としたりするパターンがたまにあるので、セラミュもその一例か。
MOONの和ちゃんに対しSTARのさっちゃんは、

「コメディエンヌぶりと舞台度胸、歌唱力で頭角を表してきた実力派。研6で新公主演。合計2回主演し、和に及ばないものの順調にキャリアを積んできた」という感じかもしれない。

セラミュそのものも研7あたりでの2人のバウホール主演作(和は研5ですでに主演済、さっちゃんはバウ初主演)くらいの位置づけができる由。
(じゃあアルノは何だったんだ…となるが、やはり宝塚でも抜擢されても失速してしまう生徒がたまにいる。それでも完全にモブになるわけでなく美貌だったり、独特の存在感を活かして長く活躍してくれることも多い)。

 同じように4期なら先に抜擢されたのはさくちゃんで、後からかっきーが抜擢されてラストチャンスの新公で主演したりして追いついて今のポジションにいる感じ。同組同期にこうしてスター候補がいると刺激にもなる。それで同組のスター男役同士でダブル主演でもやれば、『マグカップとシンク』でのかきさくコンビを見たオタクのようにファンは妄想逞しくできるというわけである。
(ちなみに1期生さんでいうと、生駒里奈・橋本奈々未・白石麻衣・西野七瀬・生田絵梨花・齋藤飛鳥の6人を、勝手にトップスターとしてなぞらえさせていただいております)

宝塚側から見ると、解像度高し

こういうバッググラウンドがあるので、宝塚のファンに乃木坂のシステムを説明する時はかなり簡潔明快。 和ちゃんのことは「研1で役ついて研2研3で新公主演してスター街道爆走中。礼真琴・暁千星・華世京のような抜擢をされており、将来のトップ就任はほぼ確定。というか既にしている」といえば彼女のスター性は通じてしまうし、久保ちゃん、さくちゃん、かっきー、梅らそれぞれのメンバーも、何となくジェンヌに置き換えた持ち味や経歴が想像できてしまう。

(※礼真琴:現5組のトップの中で一番人気かつ最長任期更新中。トップ4人を輩出した華の95期の中でも首席入団の星組トップスター。その2番手暁千星がこれまた長身やダンスを活かしたスケールの大きな男役でこの2人で映画「RRR」の宝塚の上演に成功。 華世京はやはり早期抜擢続きの雪組の期待の大器) 

 他にも、坂道をウォッチしていると「あ、この子は人気あってスターにはなるけどトップまではいかない、脇のポジションで輝くタイプだな」とか「新公主演は出来なかったけど歌もダンスもできて重宝される実力派メンだな」「この2人、同組配属でコンビ売りされてそう」とか思うことがよくある由。そしてヘッダーのように山下クラスの単独卒コンとなればトップスターの盛大なサヨナラショーである(実際山の東京ドームは構成もそれっぽかった。宝塚のオタ演出家がやっても多分あんな演出になる)。

 宝塚に限らずOSK、男性アイドルも女性アイドルも、果てはKPOPも「成長過程を愛する」ものであったりするので、このあたりはエンタメに普遍の要素であるのかもしれません。  

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