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父への心のこり

昔は父のことを好きでも嫌いでもなかった。 でも今は感謝してもしきれない。 中山間地の田舎ならどこにでもある、元を辿れば小作人という貧乏兼業農家。 趣味や娯楽には縁がなくただ黙々と仕事をする父のことは、なんだか冷たく思えて私はあまり関心がなかった。 そんな父も、年の離れた末っ子の私まで育て上げた後は、なんだか肩の荷が降りて少しだけ柔らかくなったように思えた。 母に小言を言われながらも、唯一趣味となった畑で野菜を育て気楽に過ごしているように見えていた。 その頃は両親の穏やかな

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